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和製Second Life? 3D仮想空間「splume」

米国発の3D仮想空間「Second Life」が話題になっているが、国内でも3D空間を楽しめるシステムが発表された。スプリュームが3月20日にβ版を公開したで、ユーザーが持つWebサーバに3D空間を構築でき、他の3D空間とシームレスにリンクさせられるのが特徴だ。

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 米国発の3D仮想空間「Second Life」が話題になっているが、国内でも3D空間を楽しめるシステムが発表された。スプリュームが3月20日にβ版を公開した「splume」で、ユーザーが持つWebサーバに3D空間を構築でき、他の3D空間とシームレスにリンクさせられるのが特徴だ。「クローズドなSecond Lifeと異なり、splumeはオープンプラットフォーム。みんなで一緒に作り上げていきたい」と同社の梶塚千春社長は意気込む。


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 splumeは、専用ブラウザ「CRブラウザ」でアクセスできる3D空間だ。3D記述用の言語「VRML2.0」ベースで書かれた独自のファイル形式「cr形式」で構築されており、VRML2.0の出力に対応した3Dモデリングソフトがあれば、誰でも空間や建物などを構築できる。構築した空間は「ワールド」と呼ばれ、一般的なWebサーバにアップロードして自由に公開可能だ。

 ユーザーは、自分のアバター(同社は「ハブ」と呼んでいる)で空間内を自由に歩き回ることができ、チャット機能で他のユーザーと会話できる。アバターに名前や年齢、写真などプロフィールをひも付けて公開する機能や、他ユーザーを友人登録し、オンライン状態を知ることができるSNS的な機能も備えた。

 URLの異なる空間同士を、HTMLのハイパーリンクのようににつなぐ技術「空間リンク」を独自開発し、特許を取得した。サーバが異なる空間同士でも隣り合わせに配置すれば、画面の切り替えなしで、まるで同じサーバ内にあるかのように移動できる。例えば、個人のワールドを企業のワールドにつないだり、企業のワールド同士でリンクし合ってコラボレーション企画を展開する、といった使い方が可能だ。

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チャットもできる

 クローズドβとして公開していた時から、ユーザーがフリーの3Dモデリングツールを使い、つたないながらも自分のワールドを構築し始めていたという。「テキストエディタでホームページを構築していたWeb黎明期と同じようなことが、3次元で起きている」と梶塚社長は期待する。夏をめどに、ユーザーが手軽にアイテムを作れる、簡易なオーサリングツールを提供する予定だ。

収益はアバターアイテム販売で

 Second Lifeの場合は、専用サーバをホスティングし、空間を“土地”として販売。土地の売り上げと、そこから上がる“税金”(使用料)を収益源としているが、splumeの空間は、ユーザーが独自サーバで構築できるため、こういったビジネスモデルを採ることができない。このため同社は、オリジナルのアバターアイテム販売と、企業向けの3D空間構築などで収益を上げていく計画だ。

 近い将来、有料のアバターアイテムを販売するショップをsplume内に構築し、WebMoney決済で販売する計画だ。将来、ユーザー間でアバターアイテムの売買が行われる場合も、同社サーバでアバターアイテムをいったん預かり、収益の一定割合を同社が徴収する。

 現在、ユーザーが作ったアバターアイテムは、一度同社がチェックしない限りアップロードできない仕様になっている。「著作権侵害などを防ぐため」(梶塚社長)という。ただ、アバター以外の空間アイテムは、チェックなしでアップロードでき、当事者同士で交渉がまとまれば、ユーザー間で売買することも自由だ。

 また、企業向けサービスとして、3D空間構築などを請け負う。例えば、実店舗の店内の様子を再現した3D空間を作ったり、既存のSNSを3D空間化する――といったビジネスが考えられる。

「Second Lifeは“Webの次”にはならない」

 NHK「驚異の小宇宙・人体」のCG製作なども担当した製作会社ケー・エー・ジェー(KAJ)の社長も兼任する梶塚社長は、プレイステーション用ゲーム「GERMS(ジャーム) 狙われた街」(1999年発売)の失敗が、splume開発のきっかけだったと語る。

 「GERMSは、自分がいるブロックと、その周囲のブロックを常に読み込みながら歩き回れるゲームだった。ゲームは売れなかったが、このゲームから、HTMLのハイパーリンクを、空間同士のリンクに変えられるのでは、という着想を得た」

 splumeは2000年ごろから開発を開始。2003年にスタートしたSecond Lifeのほか、各社が開発した3D仮想空間の展開も見ながらサービス構築を進めてきた。

 「Second Lifeは良くできていると思うが、“Webの次”とは言えないだろう。例えるなら、Internet Explorerで表示するためのページを置いておくディスクスペースを、マイクロソフトが販売しているようなもの。ゲームとしてはよくできているが、Webに取って代わるものではない」

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