「名作の芽を摘む」 コミケ準備会も「児童ポルノ禁止法案」に反対 漫画・アニメの「調査研究」を危惧
「才能に枷をはめる事は、名作が生まれる可能性の芽を摘むことになりはしないか」――コミケ準備会も、児童ポルノ禁止法案に対する反対声明を発表した。
コミックマーケット準備会は5月29日、自民、公明、日本維新の会の3党が衆院に提出した児童ポルノ禁止法改定案に反対する声明を発表した。附則の「検討事項」に記載された、漫画・アニメなど創作作品の規制につながる「調査研究」を懸念。人気漫画家のデビュー作が「性的な作品」であることが珍しくないなど例を挙げ、「才能に枷をはめる事は、名作が生まれる可能性の芽を摘むことになりはしないか」と危ぐしている。
準備会は声明で、「現実に被害者が存在する児童虐待、児童の性的搾取に立ち向かう取り組みを支持する」とした上で、全国同人誌即売会連絡会の声明に「全面的に賛同」し、日本漫画家協会、日本雑誌協会、日本書籍出版協会の声明に「強い支持」を表明。その上で、コミケの現状を伝え、改定案への反対を訴えている。
声明では、日本は「世界最大のマンガ文化が花開く豊饒の地」と評価。1回のコミケで約3万5000サークルが参加し、7万種類を超える作品が生まれ、50万人がそれを求めて集まるとし、中には「現行法の範囲内だが、良識ある人たちが眉をひそめるような傾向の内容を持つ作品が含まれていることも事実」と明かす。
しかし「名だたる映画監督のデビュー作が性的な作品であることが珍しくないように、その中には多くの原石が存在している」と指摘。人気マンガ家も「デビュー作が性的な作品である方が少なくない」現状を説明する。
「無数の才能の中から輝きを放った作品が傑作として評価されるためには、創作上の、発想と発表の自由が必要。才能に枷をはめる事は、名作が生まれる可能性の芽を摘むことになりはしないかと不安を感じざるを得ない」と、法案が創作者の可能性を縛る危険性について懸念。「諸外国に誇れるコンテンツ文化の世界は、作家の自由な活動によって生まれてきました。やっと育った文化の種を、今、狭い檻に閉じ込めてしまってよいのでしょうか」と問題提起する。
自由な創作活動から生まれた発想は、「時に感情的な衝突を生む」こともあるが、そのような時に必要なことは、「創作や発想自体を法で縛ることでなく、相互の価値観を理解し共存することを認めるため、対話を重ねることだ」と指摘。「対話を通じ、多様な価値観に寛容な社会を実現することが、本法案の立法趣旨である『児童の福祉と安全』を促進する最良の道ではないでしょうか」と提案している。
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