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「電子書籍を紙にする矛盾に挑戦」 出版社なしの電子書籍「AiR」、製本版発売
「電子書籍を紙にするという矛盾に挑戦する」――プロ作家が集まった、出版社抜きの電子書籍「AiR」の製本版がナカバヤシから。
「今あえて、電子書籍を製本するという試み。現代だからこそ矛盾に挑戦します」――ナカバヤシは、作家発の電子書籍「AiR」(エア)の製本版をこのほど、製本サービスを提供する「ナカバヤシ製本所」で発売した。箔押し上製本(ハードカバー)のA5版309ページで、2940円。
AiRは、一線の書き手が集まり、出版社を介さずに直接読者に発信するプロジェクトとして注目を集めた、2010年発行の電子書籍。製本化に当たって再編集を行い、瀬名秀明さんの小説「魔法」、慶応義塾大学大学院教授・前野隆司さんの「平安デジャブ」など8作品を収録した。
「あえて電子書籍を製本し、紙の書籍にすることで、『本』とはそもそもなにか、作品の面白さとはどこにあるのか。“製本版電子書籍”というパラドキシカルな共同企画で、模索してみたい」という。
AiR編集人の堀田純司さんは「紙でも公開することで、AiRに収録されている作品は、デジタルやアナログであること以前に“まずそもそも面白いんだ”と、伝わりやすくなるといい」とコメントしている。
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