人工頭脳「東ロボくん」、代ゼミ東大模試に挑戦 結果は“偏差値60”
人工頭脳プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」が開発を進めている「東ロボくん」が代ゼミ模試に挑戦し、「偏差値約60」という結果を出した。
国立情報学研究所の人工頭脳プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」が開発を進めている人工頭脳「東ロボくん」がこのほど代々木ゼミナールの模試に挑戦し、「東大入試プレ」では文系・理系とも「偏差値約60」という結果になったという。
同プロジェクトは2016年までにセンター試験で高得点を、21年春までに東大の入試を突破できる人工頭脳の開発を目指している。入試問題を適切に理解し、解答を導きアウトプットするための技術開発が狙いで、社会科では自然言語処理、理科では「おもりを離す」といった言葉を物理シミュレーションにより解釈する──といった研究に取り組んでいる。
数学チームには富士通研究所が参加。数学の入試問題をコンピュータが解く場合、(1)言語理解・意味解析、(2)論理式の書き換え・立式、(3)推論系・計算処理──という手順が必要。各手順それぞれの技術開発と、これらを問題ごとに適切に組み合わせてつなぐことも必要になるという。
模試では、数学チームは「全国センター模試」(数IA、数IIB)と「東大入試プレ」(文系、理系)に取り組んだ。問題テキストの言語処理の一部で人が介入したものの、「東ロボくん」は文系4問中2問で完答、理系6問中2問で完答という結果。文系理系とも受験者中、偏差値は「約60」だったという。
技術が進化すれば、現実の問題解決に必要な高度な数理解析を自動化できる可能性も出てくる。まだ東ロボくんが知らなかった単語などもあり、今後は数学辞書や知識ベースの拡充を進めつつ、構文解析や文脈解析の完全な自動化を目指していくという。
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