Apple Pay、米大手小売りがブロック──競合決済システム準備中につき
10月20日から米国で利用可能になったAppleのモバイル決済サービス「Apple Pay」を非公式にサポートしていた大手ドラッグストアチェーンが相次いでサポートを中止した。これらは来年独自のモバイル決済システム「CurrentC」の提供を開始する予定のジョイントベンチャーMCXの参加メンバーだ。
米Appleのモバイル決済サービス「Apple Pay」を非公式にサポートしていた米大手ドラッグストアチェーンのRite AidとCVS Pharmacyが、相次いでサポートを打ち切ったと、米MacRumorsをはじめとする米メディアが報じた。
Apple Payは、モバイルOS「iOS 8.1」を搭載するiPhone 6/6 Plusで利用できるモバイル決済サービス(2015年発売予定のApple Watchでも利用可能。また、アプリでの決済はiPad Air 2とiPad mini 3でもできる)。米国で10月20日(現地時間)から提供が始まった。小売店に設置される専用のNFC端末にiPhoneをかざし、Touch IDの指紋認証を行うことで決済できる。WWDCでの発表段階でMacy'sやMacDonaldなどの22万店舗に専用読み取り端末を設置するとしており、スタート段階ではさらに提携小売企業が増加している。
Rite AidとCVS PharmacyはApple Payを正式には導入していないが、既存のNFC端末で非公式にApple Payを利用できることが話題になっていた。これらのチェーンは、米Targetや米Walmart Storesなどが中心となって2012年に立ち上げたジョイントベンチャーMerchant Customer Exchange(MCX)のメンバー。MCXは来年、Apple Payと競合する独自の決済システム「CurrentC」をスタートする計画だ。
CurrentCは、2次元バーコードの読み取りで決済するサービスで、小売店は特別な端末を用意する必要がなく、ユーザーはApp StoreやGoogle Playから無料のアプリをダウンロードすることで利用できる。
Apple Payはユーザーデータを小売店に渡さないが、CurrentCはユーザーデータを収集できるので、小売店にとってはApple Payよりもメリットがあるといえる。
MCXの中心メンバーであるWalmartとBest BuyはApple Payをサポートしないと、米Wall Street Journalが9月10日に報じている。
MCXにはこの他、コンビニエンスストア大手の7-ElevenやアパレルのGAP、BANANA REPUBLIC、大手スーパーなどが加入しており、加入企業はApple Payをサポートしない可能性が高い。
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「Apple Pay」はNFCと指紋センサー「Touch ID」を利用するモバイル決済サービス。VISA、MasterCard、American Expressのカード情報を端末に保存し、店頭のセンサーにかざして指紋認証することで支払いできる。
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