北朝鮮パロディ映画、SPE史上最高のオンライン興行成績に
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)は、12月24日に一部の映画館とGoogleやMicrosoftなどのオンラインサービスで公開した北朝鮮パロディ映画「The Interview」のこれまでの興行収入が3600万ドル(約43億円)に上り、ネット配信での収入は同社史上最高だったと発表した。
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)は、昨年12月24日にオンラインで公開した北朝鮮パロディ映画「The Interview」が「ソニー・ピクチャーズ史上最高のネット配信」になったと語った。米CNNがSPEの発表として1月6日に報じた。
この映画は、当初はホリデーシーズンのメイン映画の1つとして全米の映画館で公開されるはずだったが、11月末に大規模サイバー攻撃を仕掛けた集団と同じとみられる攻撃者から上映館を爆破するといった警告を受け、上映の中止とオンラインでも公開しないことを決定した。だが、米連邦政府が上映中止は悪質な攻撃に屈することになると批判したことから、一部の映画館での上映と、米Googleや米Microsoftなど(現在はApple、Amazon、Dish、DirecTVなども配信中)の協力により、オンライン公開に踏み切った。
SPEの6日の発表によると、オンライン公開後、430万本の購入あるいはレンタルがあり、売上高は3100万ドル(約40億円)に上る。
映画館での上映による同期間の興行成績は500万ドルだった。
CNNによると、この映画の制作費は4400万ドル。なお、The Interviewの公式サイトはあるが、SPEの公式サイトには現在、この映画に関するページはない。
映画レビューサイトRotten Tomatoesでの批評家のレイティングは10点満点で5.9点(78人の評価の平均)、一般鑑賞者のレイティングは5点満点で3.4点(約4万3000人の評価の平均)だ。
米連邦政府はSPEへの一連の攻撃を北朝鮮政府によるものと断定し、同国への制裁を強化したが、北朝鮮は関与を一貫して否定し、「米国は主権国家のテロ行為を公然と扇動する嫌な映画を作った」と米国を批判している。
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