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組織の“ハピネス度”をウェアラブルセンサーで測定する新技術 日立が開発

組織に所属する人々にウェアラブルセンサーを装着してもらい、測定した行動パターンから組織の幸福度を予測する技術を日立が開発した。ハピネス度は生産性向上につながることも確認。生産性向上ソリューションとして展開する。

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新ウェアラブルセンサー

 日立製作所と日立ハイテクノロジーズは2月9日、組織に所属する人々にウェアラブルセンサーを装着してもらい、測定した行動パターンから、組織の幸福度「ハピネス度」を予測する技術を開発したと発表した。組織のハピネス度は生産性向上につながることも確認したという。センサーとクラウドサービスを組み合わせ、生産性向上ソリューションとして展開する。

 日立は以前から、加速度センサーと対面センサーを搭載した名札型のウェアラブルセンサー「ビジネス顕微鏡」で得た行動データを解析し、組織の状態の把握や企業の業績向上策を見出す手法を開発してきた。

 今回、同センサーを使い、7社10組織・468人の従業員について、業務中ののべ約5000人日、50億点の身体運動を表す加速度データを取得。被験者には、抑うつ度を自己評価するアンケート「CES-D」を提出してもらい、その結果から「ハピネス度」を算出した。

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 センサーで得た身体運動の持続時間とハピネス度の相関を解析し、集団ごとに集計したところ、高ハピネス度の集団では身体運動の持続時間の頻度分布が富士山のように曲線を描きながらすそ野が長く伸びるのに対し、低ハピネス度の集団では直線的に低下していることが分かった。

 この結果から、センサーで得られた集団の加速度データから「ハピネス度」を予測するモデルを考案。これを実データに適用したところ、センサーで得たデータから高い精度で集団の「ハピネス度」を予測できることを確認したという。

 センサーから予測した集団の「ハピネス度」は、業務の生産性と強く相関することも見い出した。コールセンタ2拠点で勤務する215人の従業員にセンサーを29日間(のべ6235人日、約60億点のデータを計測)装着してもらったところ、集団の「ハピネス度」が平均以上の場合は平均以下の場合に比べ、日毎の受注率が34%高いことが分かったという。

 今回開発した新センサーは、ビジネス顕微鏡で取得できる1対1の対面データに加え、個人の活性度を集計・平均することで「組織活性度」(ハピネス度の別名)が得られるのが特徴。液晶画面には、行動継続時間や個人の活性度トレンドが表示され、装着者はリアルタイムに活性度を確認できる。組織活性度の変動の推移はクラウドで提供。Webブラウザで確認したり、一部をダウンロードでき、解析すれば、業務の生産性向上や顧客満足度向上に活用できるとしている。

 同技術は、「ハーバード・ビジネス・レビュー」3月号(日本語版、2015年2月10日発行)に発表する予定だ。

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