日本の広告費、4年連続プラスに ネット広告は2けた成長、スマホと動画が拡大
2015年の日本の総広告費は6兆1710億円で4年連続のプラス成長となった。インターネット広告が2けた成長を記録し、特にスマートフォン、動画市場の伸長が目立つ。
電通が発表した2015年の国内広告費の推定調査「2015年 日本の広告費」によると、国内の総広告費は6兆1710億円で、4年連続でプラス成長となった。インターネット広告が10%以上成長し、市場をけん引している。
総広告費は前年比0.3%増の6兆1710億円で、12年以来4年連続のプラス成長となった。マスコミ4媒体がそれぞれ前年を下回った一方、インターネット広告費は前年比10.2%増の1兆1594億円と、2けた成長を記録した。
検索連動型の運用型広告(リスティング広告)が特にモバイル領域で大きく伸長しており、21.9%増の6226億円となった。動画広告市場も急成長しており、今後一層の伸びが期待できるという。
運用型、動画広告ともにスマートフォン市場の継続的な拡大が目覚ましい。電通総研の北原利行研究主幹は「PCよりスマホが圧倒的に接触時間が長いという調査結果が出ており、消費者にリーチしたい広告主が目を向けるのは当然の帰結。逆に、トラフィックの伸びほど市場は拡大していない、追い付いていないという声もある」と現状を見る。
プロモーションメディア広告費としては、展示・映像ほか(3062億円、7.7%増)をはじめ、屋外広告(3188億円、0.5%増)、フリーマガジン(1573億円、0.7%増)、POP(1970億円、0.3%増)の領域でプラス成長した。
Web媒体を使用した広告施策が一般的になるなか、リアルとのすみ分けがはっきりし、イベントや展示会などを組み合わせて活用するケースが増えているのでは――と分析する。
マスコミ4媒体の広告費は、全体で2兆8699億円(2.4%減)で、全広告費における46.5%。媒体別に見ると、新聞が5679億円(6.2%減)、雑誌が2443億円(2.3%減)、ラジオが1254億円(1.4%減)、テレビが1兆9323億円(1.2%減)となった。
北原研究主幹は、「単純に他媒体の減少分だけインターネット広告が増えているわけではなく、海外向け施策の強化、企業合併による広告費の縮小など、各社の経営戦略自体の変化も要因にある。広告費をめぐる環境自体に構造的な変化が起きており、さらにメディアの複合的な活用は進んでいくのでは」と述べた。
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