MacからiOSまで、Apple日本語環境の知られざる歴史が明らかに
Macの英数・かな切り替えがトグルではない理由、他社の日本語変換とはどう違うのか。誰も知らなかった内容を元「中の人」が語る。
Mac日本語インプットメソッド「ことえり」の生みの親で20数年にわたってAppleの日本語環境を支えてきた木田泰夫さんへのインタビューが公開された。
Apple関連情報のニュースサイト、MACお宝鑑定団のDANBOこと山田昇さんが、元Appleシニアマネジャーの木田泰夫さんにポッドキャストbackspace.fmでインタビューを行った。AppleユーザーのイベントであるAUGM KOBE 2016にゲスト参加した木田さんから会場で聞いた貴重な内容だ(ポッドキャストへのリンク)。
ポッドキャストでは「Appleの日本語環境を支えた、これまで語られなかった20年」と題して、Apple在籍時代には明かされなかった、Appleの日本語入力環境に関する30分間のインタビューを行っている(SoundCloudへのリンク)。
現行のMac用キーボードのベースとなった、1990年の「Apple Keyboard II JIS」の日本語配列は木田さんが提唱したもので、日本語と英語の切り替えキーが、モードを順次切り替えていくトグル方式ではなく、英数キーを押せば英数に、かなキーを押せばかなになる方式になった理由について「脊髄で学習できるようにしたかった」と説明している。MacのJISキーボードは現在も、スペースキーの左右に英数、かなのキーを配置しており、他のプラットフォームにはないシンプルさと使いやすさで評価が高い。
iOSで全角スペースが入れられなかった経緯や、日本語辞書のベースとなるコーパスの選択基準、OS Xとの変換方針の違いなどについても木田さんは説明している。
また、MicrosoftのMS-IME、ジャストシステムのATOK、Google日本語入力のそれぞれの特徴や考え方、そしてAppleの日本語環境にとってこれから必要となる人材の資質についても語っている。
絵文字、アイヌ語、Apple Watchの入力環境にも言及した書き起こしはMACお宝鑑定団のブログに掲載されている。
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