ハーマイオニーにOculus Readyメガネをお願いしたい:新連載:Oculus Riftはじめました
Oculus Rift製品版がついに我が家に。それまでの長い道と、これからの苦難と喜びを描きます。
実に30年である。
1986年から88年にかけて、ぼくはCG雑誌の編集をやっていて、その頃にはCGとVRの始祖「ダモクレスの剣」アイヴァン・サザランドやVRの父ジャロン・ラニアーがなんかやってた(やってる)という認識だったVR HMD(Head Mounted Display)が、ついにコンシューマー向けの完成形としてぼくの手元(目元)にやってきたのだ。
1980年代のPC-9801、90年代のMacとCD-ROMとインターネット、0年代のiPod/iPhone、こうした「体験してみないとわからない系」で次に来るのはVR HMDだと信じて「ここで金かけないのは時代を読めてない」というくらいの勢いで買ったわけだが、せっかくなのでそれがどこまで行くのか、この連載でレポートしていきたい。
Oculus Rift体験は2014年1月に、米沢嘉博記念図書館で行われた「初音ミク実体化への情熱展」のOculus Rift対応ソフト「Mikulus」が最初。このときは開発キットの最初のバージョンであるDK1だった。DK2を2014年7月に購入したのだが、初期状態のドライバが問題だらけでうまくいかなかったり、途中でMacサポートしたと思ったら対応をやめてしまったりといろいろあって、製品版を待とうと考えた。というより、買ったけど何もしなかったというのが正しい。
そうこうするうちにヘッドトラッキングやレイテンシーなどが大幅に改善されたコンシューマー向けバージョンが今年の1月7日に発表され、今度こそと決心しCV1と呼ばれる製品版を即予約。クレジットカードが通らないとかサイトが落ちてるとか、日本向けの価格がむちゃくちゃ高いなど阿鼻叫喚の中、自分は3月28日にゲットできるという返事をもらい、安心していた。
ところが、一部パーツの入手困難を理由に到着が大幅に遅れ、4月12日にならないと出荷予定がたたないとのメール。自分の出荷予定日は5月9日から19日とアップデートされた。
当初予定から1カ月遅れの4月28日、「Your order has been processed and your Rift is almost on its way! Look for a shipping confirmation email with tracking information soon.」というメールが届いた。発注は処理され、あなたのRiftはもうすぐ届くから、出荷確認とトラッキング番号の確認メールを待っててね、という内容。
PayPalでの引き落としもされた。あとは「Alienware: your order is being processed and your discount information will be available soon.」という言葉を信じて、ALIENWAREの2万円クーポンが届くのを待つことにした。クーポンが来ないと、すでにこれと決めている、Oculus Ready PCを発注できないからだ。
それから数時間ごとにOrder Statusを確認するも、「Processing for Shipping」から動かない。そうこうするうちに2日が過ぎ、ゴールデンウィークに突入。
4月30日朝。ピンポーン。「海外からお届けものです」
届いてしまったOculus Rift。
動かせるPCはない。あるのはDK2用に買ってあったゲーミングノートPCで、スペックははるかに下だから入れるだけ無駄だろうけど、いちおう試してみるか。
やはりダメだった。Oculus Riftと接続するまでもなく、ドライバセットアップの途中で止まる。
ALIENWAREのクーポンが来たとしても、発送にさらに4〜5日かかるらしい。これではいつになるかわからん。
うーむ。
そうだ。アキバに行こう。
2時間くらいネットでアキバのゲーミングPC系ショップ情報を検索し、結果的にDK2のときと同じところ、G-Tune Garageに電話。
即納在庫がある中で、Oculus Rift対応スペックを満たすものを電話でいくつか選んでもらい、そこから決定した。ALIENWAREの一番安いOculus Ready PCとほぼ同じスペックだが、クーポンを適用したとしても2万円くらい安い。夕方までに行けば持ち帰れる。東京はいい街だ。
Oculus Readyメガネを求めて
これでPCは決まったが、自分の頭とメガネに合うかどうかを確認しなければ。ドリキンの開封レポートによれば、メガネは厳しいらしいので。
ヘッドセットに頭をねじ込んでみるが、メガネをしたままだとやはり入らない。調べたら、Oculus Riftに入るメガネのサイズが規定されている。フレームの横幅が142ミリ以下、高さが50ミリ以下でないといけないのだ。
メガネにもOculus Readyがあるのか。
ということは、まずメガネをOculus Readyにしないと。DK1を最初に試したときに経験済みだが、ぼくは極度の近視なので裸眼ではすべてがぼやけて見えるというか、ほとんど何も見えない。DK2には近視用の補助レンズが付属していたが、CV1にはそれもない。もっとも、あったとしても目が悪すぎてぜんぜん役には立たなかったろうが。
ハーマイオニーがいてくれれば「オーキュラス・レパーロ(Oculus Reparo)」の魔法でOculus Rift用にメガネを直してくれるはずなのだが、現実も仮想現実もそう簡単にはいかないのだ。
ところで、Oculus Riftはこの呪文から名前をもらったんじゃないかな。
現実に戻って、近所のJ!NSに行くことにした。男性用の金属フレームでいちばん横幅が狭い「AMMF15S046F96」というのを選び、自分がMacやiPhoneを見ているときに使っている、近距離用の処方で作った(近視と乱視と老眼という三重苦)。レンズ込みで5900円。
このフレームは実測で138ミリ。Oculus Riftと適度な距離を保てるのでレンズを傷つけずに出し入れできるようだ。メガネを付けたままでヘッドセットに目を当てて、メガネの下を両手の親指でぐいっと押し込むようにすれば比較的スムーズに装着できる。
Oculus Rift用PCセットアップにはそれなりに苦労したのだが、現在はコンテンツを楽しめるところまで到達している。既にドリキンによる開封とファーストインプレッション記事がPC USERで公開されているので、その差分的な感じで次回は進めていきたい。
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