「Tesla S」の自動運転中の死亡事故、米運輸省当局が予備調査開始
電気自動車「Tesla S」の自動運転機能(Autosteer)使用中に前方に割り込んできたトレーラーに巻き込まれてドライバーが死亡した事故について、米当局が予備調査を開始した。Teslaは、死亡事故は自動運転機能提供開始後、累計約2億1000万キロ走行後に初めて発生したとしている。
電気自動車(EV)を開発・販売する米Tesla Motorsは6月30日(現地時間)、「Model S」の自動運転中の死亡事故について、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が予備調査を開始したと発表した。
Teslaの説明とNHTSAが米Vergeに送った声明文を合わせると、この事故は5月7日にフロリダ州ウィリストンのハイウェイで、Model Sのドライバーが自動運転機能の利用中、Model Sの前方に直角に割り込んできた大型トレーラーに巻き込まれてドライバーが死亡したというもの。
Teslaは事故後すぐにNHTSAに報告した。同社は公式ブログで、この死亡事故は2015年10月に自動運転機能が追加されてから累計1億3000万マイル(約2億1000万キロ)走行後に初めて発生したものであること、NHTSAによる調査は予備的なものであることを強調した。同社は、米国の一般車両の死亡事故は平均9400万マイルごとに発生するという比較データも提示した。
Teslaの自動運転機能は、車載カメラ、レーダー、超音波センサーなどで収集するデータに基いて環境をリアルタイムで解析しながら行うもので、完全な自動化が可能だが、ドライバーに対してはハンドルに手を添えるよう警告が表示され、手をずっと離していると走行スピードが下がるようになっている。また、Model Sには車体に何かが接近し過ぎると警告する機能もあるが、当該事故では「晴天の光を反射する白いトレーラーの側面に自動運転機能もドライバーも気づかず、ブレーキが作動しなかった」という。
Tesla Sのオーナーズマニュアルには、自動運転機能に頼り過ぎないように、また安全な車間距離を保つのはドライバーの責任であり、常に前方に注意するようにという注意書きがある。
変更履歴:当初、「9400マイル」となっていたのは「9400万マイル」の誤りです。お詫びして訂正いたします。[2016/7/1 12:25]
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