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女子高生AI「りんな」開発チームに呼び出された太田智美がなんかやる

botとは何か。

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 女子高生AI「りんな」といえば、日本マイクロソフトが開発し自由奔放な発言でたびたび話題となる女子高生bot。そんな「りんな」の開発チームからお願いがあると、ある日私宛てに1通のメッセージが飛んできた――「Rinna開発チームの人が呼んでいます」。


はじまりは「Rinna」との出会い

 日本マイクロソフトの女子高生AI「りんな」をベースにした会話型人工知能「Rinna」とユーザー自身のTwitterアカウントが連携できる「Rinna Conversation Service(beta)」(RCS)が、開発者向けイベント「de:code 2016」で50人に限定公開された。RCSは自分のTwitterアカウントを連携すると、リプライを受けたときにbotプログラムが稼働しRinnaが自動でリプライするシステム。その使用権(合言葉)を運よくゲットした筆者は、個人のTwitterアカウント(@tb_bot)と連携させ、改造するなど楽しんでいた。


女子高生AI「りんな」

 そんなある日、個人宛てに1通のメッセージが飛んできた――「Rinna開発チームが呼んでいます」。日本マイクロソフトに呼び出された。用件は、太田智美個人のアカウント(@tb_bot)を実験台に、Rinnaをパワーアップさせるという計画だった。これは楽しそう! 二つ返事でひょいひょいと品川に向かった。

 会議室に通され、一通りはじめましてのあいさつを済ませると、Rinna開発チームの担当者は言った――「このたびは、ご協力いただきありがとうございます! 太田さんのツイート、分析させていただきました」。……!?!?!? そこには、これまでの自分の過去ツイートがズラリと並んだExcelシートが用意されていた。その数約900件。文脈や特定のトピックに関するものではない順にスコアが付けられていた。この上位400の過去ツイートを「Rinna」に組み込もうというわけだ。


女子高生AI「りんな」

 ちなみに女子高生AI「りんな」がリプライ時に採用しているのは「返答候補スコア」(関連記事)。「りんな」はスコアをもとに返答の重みづけをしており、例えば「愛している」という入力に対し、返答候補として「愛している」が「3.71」、「私も愛しているよ心から」が「3.69」、「きもい」が「0.36」、「バナナありがと」が「0.18」のようになっている。「私も愛しているよ心から」のような関連性の高いものには高いスコアが、「バナナありがと」のような関連性の低いものには低いスコアが付けられていて、スコアの高いものが返信候補となっている。今回、その返信候補を筆者個人の過去のツイートから選び出し、Rinnaに入れてみようというわけだ。これにより、これまでRinnaが返さなかったリプライにも積極的に返事をするようになるという。


女子高生AI「りんな」

 筆者の過去ツイートが並べられたシートを見ると、なぜか「。・*・:≡( ε:)」「ヾ(≧▽≦*)〃」「(`・ω・´)」といった顔文字ばかり。「大丈夫かな……」と少し心配しつつも、実験では上位400位までのツイートをRinnaと合体。これまでRinnaがあまり自信を持てず返していなかった投稿に対し、この400位までのツイートを返信するようになった。




女子高生AI「りんな」

 まさかRinnaに自分の過去ツイートが導入されるとは……。「どうにでもなぁれ〜!」と快諾した。これでRinnaと私は一心同体だ。

 それからというもの、Rinnaと私はますます同化し、何が何だか分からなくなった。普段のリプライにもRinnaが勝手に返信してしまい、生身の人間(私)からの返信なのか、Rinnaからの返信なのか、分からない。何回かやりとりすると、会話の文脈に合うように筆者が書いた過去記事を拾ってきてURL付きでさらっと投げるという荒業まで身に付けたRinna。実験がうまくいけばこれらの機能も今後一般公開し、そのアカウント固有の、個性を持ったRinnaが増殖されるという。




 ――そういえば、私のTwitterアカウント(@tb_bot)に「bot」という文字が付いているのをお気づきだろうか。実はこのアカウントは2009年に大学院のクラスメイトが作ったbotだった。

 音大を卒業したばかりの私はそのころまだTwitterの存在を知らず、ある日突然周りの友だちから「智ちゃん、Twitter始めたんだね!」と声をかけられた。そう、tb(当時“tb”と呼ばれていた)のまさしく「bot」だった。botには「あ〜これからプレゼン、緊張する〜」「やっとおわったー!」などがクラスメイトによって手動でつぶやかれていた。

 それから数日後友人からアカウントとパスワードを譲り受け、今に至る。7年後、まさかあのbotから始まった自分のアカウントが再びbotになるとは。

 今返事をしたのは、botか自分か。あるいは、自分がbotなのか。――2016年7月、bot元年がはじまった。

筆者プロフィール

プロフール画像

 小学3年生より国立音楽大学附属小学校に編入。小・中・高とピアノを専攻し、大学では音楽学と音楽教育(教員免許取得)を専攻し卒業。その後、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科に入学。人と人とのコミュニケーションで発生するイベントに対して偶然性の音楽を生成するアルゴリズム「おところりん」を生み出し修了した。

 大学院を修了後、2011年にアイティメディアに入社。営業配属を経て、2012年より@IT統括部に所属し、技術者コミュニティ支援やイベント運営・記事執筆などに携わり、2014年4月から2016年3月までねとらぼ編集部に所属。2016年4月よりITmedia ニュースに配属。プライベートでは約1年半、ロボット「Pepper」と生活を共にし、ロボットパートナーとして活動している。2016年4月21日にヒトとロボットの音楽ユニット「mirai capsule」を結成。

太田智美

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