巨大な将棋盤の上を歩き回って「詰め将棋」 視覚障害者の「支援研究」で位置情報とARを使ったゲーム 静岡県立大
静岡県立大学が巨大な将棋盤の上を歩き回って「詰め将棋」をするイベントを実施。参加者は「視覚障がい者オンライン将棋同好会」のメンバーのうち、協力を申し出た11人。
巨大な将棋盤の上をプレイヤーが歩き回って「詰め将棋」をする――そんなイベント「AR巨人将棋」が9月3日、静岡県にあるコンベンションセンター静岡グランシップで開催される。
AR巨人将棋は、位置情報とAR(Augmented Reality)技術を組み合わせ、視覚障害のある人とない人が一緒に楽しめるというゲーム。プレイヤーが緑の人工芝でできたマスを踏むと、「2三 玉方 金」「1四 攻め方 香車」のように位置情報(マス目の位置)と駒情報をコンピュータが読み上げる。
会場にはカメラが取り付けられており、位置情報と連動する映像をプロジェクターで壁に投影。映像は、仮想将棋盤とCGの駒、プレイヤーを重ねて表示し、まるで人間が将棋盤の中にいるかのように映るという。
プレイヤーが詰め将棋を解くと、映像内に巨人の手がぬっと出てきて駒を動かしゲームは終了。視覚障害があっても、位置情報や音声情報を頼りに詰め将棋をプレイできるという。
実はこの取り組みは、巨大な将棋盤の上をプレイヤー(視覚障害者)が歩き、駒の配置を確認して詰め将棋を解くというゲームイベント型実証実験。社会技術研究開発センター(RISTEX)の研究プロジェクト「多世代共創による視覚障害者移動支援システムの開発」の一環で「先端技術を利用した視覚障害者の移動支援の研究」として行われる。イベントを主催する静岡県立大学国際関係学部石川准教授自身も視覚障害者で、視覚障害者の移動支援技術開発に積極的に取り組み続けている。
(太田智美)
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