異色の“Suica連携ゲーム”「めがみめぐり」開発秘話、カプコンに聞く きっかけは「交通費精算」:東京ゲームショウ2016
カプコンが、「Suica」などの乗車履歴と連携するゲームソフト「めがみめぐり」を試遊できるブースを、東京ゲームショウ2016に出展。記者も実際に遊んでみた。
カプコンが、交通系ICカード「Suica」などと連携するニンテンドー3DS向けゲームソフト「めがみめぐり」を試遊できるブースを、「東京ゲームショウ2016」(千葉・幕張メッセ、9月18日まで)に出展している。体験版をプレイし、開発秘話も聞いてきた。
めがみめぐりは、カプコンが今冬配信予定のゲーム(ダウンロードのみで基本プレイ無料、アイテム課金制)。ICカードに宿った少女「ツクモ」が立派な「めがみ」になるべく、プレイヤーと一緒に日本をめぐる旅に出るというストーリーだ。
実在する全国9000駅のマップを、すごろくのようにさいころを振ってめぐり、止まったマスに応じてツクモとの会話イベントが発生する。さまざまな質問をしてくるツクモに新しい言葉を教えていき、覚えた言葉を使って会話が楽しめる。
カプコンと東芝が共同開発した、肉声に近い合成音声を作る技術「めがみスピークエンジン」を搭載。新しく覚えた言葉もキャラクターがフルボイスで読み上げる。
実際に記者がプレイしてみたところ、最初は「おはよう」さえ知らなかったツクモが、「カンシャの言葉を教えて?」「○○さんの好きな食べ物は何?」などの質問を通じ、徐々に自分のことを覚えてくれる点に愛着がわいた。覚えた言葉のイントネーションが不自然な場合は「その発音はおかしい」と指摘し、修正することもできるようだ。
体験版では遊べなかったが、今冬から配信する正式バージョンでは、Suica、PASMOなど10種類の交通系ICカードと連携。ICカードを「New ニンテンドー3DS」などが搭載しているNFCリーダーにかざすと、読み取った乗車履歴や買い物情報に応じてアイテムを手に入れたり、ツクモがリアクションしてくれたりするという。
「元技術者として何かできないか」――きっかけは「交通費精算」
「技術部門の出身者として、NEW ニンテンドー3DSのNFCリーダーを使ったゲームが作れないか、ずっと考えていた」――カプコン第4開発部の野中大三プロデューサーはそう振り返る。あるとき、野中さんが交通費を清算しようとICカードの利用証明書を確認したところ、乗車日や乗車履歴をチェックできることに気付き、「めがみめぐり」のアイデアが生まれたという。
「情報セキュリティ上、チャージ金額やポイントをゲームに使うことは難しいが、乗車履歴なら……と思った」(野中さん)。その後、アイデアをJR東日本企画に持ち込むと「面白がって快諾してもらえた」。開発当初はSuicaだけとの連携を考えていたが、「範囲を広げるべきでは」とのJR東日本の後押しもあって、PASMOを含む10種類のICカードとの連携が実現したという。
今後、地方のイベントなどとのタイアップも予定している。イベント期間中、会場の最寄り駅を使ったかどうかを乗車日や乗車履歴から判断し、ゲームを有利に進めるためのアイテムがもらえる仕組みを用意するという。「イベントの集客などに活用してもらい、地域活性化につながれば」(野中さん)。
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