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水俣病の原因「メチル水銀中毒」のメカニズム解明 新潟大
水俣病の原因となったメチル水銀中毒の仕組みを、新潟大学の研究グループが解明。原因物質を抑制する新薬の開発につながる可能性があるという。
水俣病の原因として知られるメチル水銀中毒のメカニズムを、ラットを使った実験で解明したと、新潟大学の研究グループが1月25日に発表した。新しい治療法の開発につながる可能性があるという。
メチル水銀中毒は、50〜60年代に発生した水俣病、新潟水俣病の原因として知られている。小脳や後頭葉などに障害を引き起こし、体がふらついたり、視野が狭まったりなどの後遺症をもらたすが、なぜ小脳などの部位に障害が起こるのか、詳しい仕組みは分かっていなかった。
研究チームは、水俣病の重症患者の脳内にむくみや出血が見られることに注目。ラットにメチル水銀を投与したところ、小脳や後頭葉で「VEGF」と呼ばれるタンパク質が異常に増加していることを確認した。VEGFが血管の壁を破壊し、血管内の物質が脳組織に漏れ出すことで、障害が生じることを突き止めたという。
メチル水銀中毒を患ったラットに、VEGFの作用を抑える「抗VEGF抗体」を投与したところ、運動機能の障害が改善したという。この結果を応用すれば、VEGFを標的にした新薬を開発できるという。
研究成果は、米科学誌「PLOS ONE」に1月25日付で掲載された。
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