ミクシィ、モンスト映画化やYouTubeアニメに「手応え」 メディアミックスに継続投資
ミクシィの森田社長は16年4月〜17年3月期の決算説明会で、「モンスト」のメディアミックスに引き続き注力していく方針を示した。
「モンストは、けた外れの投資をしてYouTubeアニメなどのメディアミックス施策を行ってきた。他社のタイトルと比べるとIP(知的財産)として成長できているのではないか」――ミクシィの森田仁基社長は2月9日の決算説明会でそう話し、今後もメディアミックスを通じて「モンスターストライク」(モンスト)などのエンターテインメント事業を成長させていく方針を示した。
同社は2月9日に発表した16年4月〜17年3月の通期業績予想で、売上高を2060億円に下方修正(前回予想は2180億円)した。海外版モンストや一部新規ゲームタイトルが不調だったためという。一方、モンストの国内アクティブユーザー数の伸びは順調とし、エンタメ事業の第4四半期(17年1〜3月期)の売上高予想は過去最大の600億円(前年同期の実績比114.6%)に設定した。
スマホゲームは「マス広告やゲーム内施策だけでは維持できない」
モンストは、16年10月から年末年始にかけて、3周年イベントやアニメ「幽☆遊☆白書」とのコラボイベント、タレントを起用したプロモーションを相次いで展開。16年末公開の劇場版アニメとゲーム内のイベントを連動させるなどして、ユーザー増を図ってきた。
これらの施策により、国内アクティブユーザー数は1月時点で「過去最高を記録」(数は非公開)。1月下旬には世界累計ユーザー数が4000万人を突破したという。
森田社長は「マス広告やゲーム内施策だけでは(アクティブユーザーを)維持できないと1年前から考えていた。早い段階からメディアミックス施策を打ち出してきた」と話す。同社は16年10月にモンストのオリジナルアニメをYouTubeで配信したほか、12月には劇場版「モンスターストライク THE MOVIE」を公開している。
こうしたメディアミックス戦略は来期も継続。スクウェア・エニックスのRPG「ファイナルファンタジー」とのコラボ企画などを展開し、新規アクティブユーザー獲得に伴う売り上げ増につなげる考えだ。
「(メディアミックスに投資した)10〜12月期の戦略は間違っていないという手応えを感じた。来期の600億円は強気の予想だが、達成は十分可能」(森田社長)
「モンスト」以外は……「チケットキャンプ」好調も“課題あり”
エンターテインメント事業と併せて同社の“2本柱”となっているのが、チケット販売サイト「チケットキャンプ」をはじめとするメディアプラットフォーム事業だ。
チケットキャンプは16年6月に登録会員数が200万人を突破するなど、流通総額とユーザー数が「順調に拡大」(同社)。メディアプラットフォーム事業の16年4〜12月期連結業績は111億8400万円(前年同期比112.1%)と、全社の売り上げ増に貢献しているという。
一方、チケット販売事業には課題も。コンサートやイベントが集中する時期とそうでない時期で売上高が大きく変わる上、イベントの主催側がチケットの転売を禁止する動きもある。今後、ユーザーの趣向や購買データをマーケティング施策に反映するほか、2次流通ではなく最初から公式としてチケットを販売するといった取り組みも検討するという。
同じメディアプラットフォーム事業でも、SNS「mixi」の売上高は横ばいか微減の状況が続いている。昨年12月には「mixi日記を『リライト』しよう!」と題し、自分や友人の過去のmixi日記を表示するキャンペーンが話題を呼んだ(関連記事)が、ユーザー数・業績ともに「影響は限定的だった」としている。
同社の2016年4〜12月期連結決算は、売上高が前年同期比4.9%減の1429億9000万円、営業利益が16.0%減の565億1100万円、最終利益が11.7%減の388億6400万円だった。
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