HTC ViveではなくOculus Riftを選んだのは間違いではないだろうか。そうずっと思っていた。その主な原因はTilt Brushだ。Googleが開発した3D空間にペイントするソフト。去年の段階ではHTV Viveでしか動かなかった。それがついにOculus Riftにやってきたので、早速使ってみた。
Oculus Rift版Tilt BrushはOculus Homeから買える。価格は2990円。ハンドコントローラーのOculus Touchが必須となる。
Oculus Touchに対応した3Dお絵かきプログラムはQuill、Mediumが既に存在するが、やはりTilt Brushは楽しいものだった。昨年、Tilt Brushの展覧会に参加し、2人のアーティストがTilt Brushで作り上げた空間を阿佐ヶ谷のVR GALLERYで探索したり、Tilt Brushアーティストのせきぐちあいみさんとお話ししたりして、その楽しさは理解していたつもりだったが、実際に自分で描けるというのは当然ながらまったく異なる体験だ。
Tilt Brushを起動すると、Tilt Brushのロゴが目の前に。遠景には山々のシルエットが見える。なんでこういうのが必要なのかと考えたが、Tilt Brushには場所を移動する機能があって、そのときに山の大きさが大きくなると、ああ先に進んだのだな、ということが感覚的にわかるのだ。よくできている。
そしてペイント。右手のOculus Touchの先端から光がシューシュー出ていて、それを人差し指でグリップすると空間に定着できる。Mediumはプシューッとスポンジ状のものが出てきて固形物を作る感じだが、Tilt Shiftの場合にはこの光の線を何層にも重ねていって世界を作り上げるのだ。線を自由に交差させたりくぐらせたりする感覚は、お裁縫を思わせる。
これがひたすら楽しくて綺麗。自分の手から生み出されたものとは思えないくらいに。たのしー、すごーい、と言いながら、そこをさばんなちほーにしたりもできるのだ。
線の色は左手のTouchに表示されるカラーピッカーで切り替えられ、さらに光の線をギザギザしたものや、虹色のだったり、キラキラな星だったり、雪だったり、スイッチして使える。
自分が子どもだったらしばらくここから抜け出せないだろうな。そう思いながら自分の周りに描きまくっていたら身動きが取れなくなった。そういうときは左手のボタンにアサインされているアンドゥやリドゥボタンが使える。テレポート機能で別の場所に移動するのもありだ。
まだ10分かそこら遊んだだけの感想だが、未来のアートの形がここにあるのはよくわかった。これからは、他のアーティストが作り上げた空間を読み込んで、そこにさらに継ぎ足していくようなコラボも普及していくのだろう。
Googleすごい。明らかにこれはキラーアプリなのに、これを自社のDaydream Viewで使えるようにしなかったのか、なぜPixelもDaydreamも日本で売ろうとしないのかわからないくらいすごい。
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