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“柔らかいモーター”、東大など開発 「ベイマックス」的ソフトロボットに応用へ

モーターは柔らかく薄いプラスチックフィルム製。小さな袋に入ったアセトンなどの液体をヒーターで気化・膨張させ、駆動する仕組みだ。

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 東京大学と科学技術振興機構(JST)は5月25日、薄く柔らかいプラスチックフィルム製のモーターを開発したと発表した。小さな袋に入った液体をヒーターで気化させ、体積が変化することで駆動する。ディズニー映画の「ベイマックス」のような、柔らかいボディーを持つ「ソフトロボット」の開発に役立てる考え。

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新型モーターを使い、チョウを模したソフトロボットを試作

 新型モーターは、低い温度で沸騰するアセトンなどを、液体の状態で小さな袋に封入したもの。電熱線(ヒーター)で袋が温められられると、液体が気化・膨張し、袋の両サイドが持ち上げられて“くの字型”の駆動力が生じる仕組みだ。加熱を止めると再び液体に戻り、モーターは元の形になるため、繰り返し使えるという。

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 モーターのサイズは約80(奥行き)×約25(幅)ミリ、重さ約3グラム。実験では、最大約0.1ニュートンメートルの回転力(小指を曲げる力に相当)が発生し、最大動作角度は90度に達したという。研究グループはこれを用い、虫(チョウ)や植物(ハエトリソウ)を模したソフトロボットや、平面から自動で立体的に組み上がる箱などを試作している。

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ハエトリソウを模したソフトロボット

 ヒーターの回路は、厚さ約135マイクロメートルのプラスチックフィルムに、導電性の銀ナノインクを印刷して作成した。A4サイズ程度のモーターなら数万円程度の装置と数十分程度の時間で作成でき、「工業用途だけでなく家庭や学校教育現場などさまざまなシーンでの活用が期待される」としている。

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ヒーターの回路は、導電性の銀ナノインクを印刷して作成

 これまで、ロボットの関節を曲げ伸ばしする駆動源は、金属材料や永久磁石を使った電気モーターや空気ポンプが主流だった。新型モーターは薄く柔らかいため「ベイマックスのように、人間と共存する安全でやさしいロボット」(研究グループ)の動力源への応用が期待できるとしている。今後は加熱方式を工夫し、動作速度や出力の向上に取り組む。

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平面から自動で組み上がる箱

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