日本音楽著作権協会(JASRAC)は6月7日、楽器の演奏や歌謡を教える教室に対し、来年1月から著作権料を徴収すると正式に発表した。文化庁に届け出た使用料規定によると、原則として教室が得た受講料の2.5%を徴収する。
著作権法では、著作物を公衆に聞かせるために演奏する権利「演奏権」を、作詞・作曲者が占有すると定めている。JASRACは、音楽教室が「公衆に演奏の場を提供している」とし、著作権料徴収の根拠としている。
一方、この規定をめぐっては、JASRAC側と音楽教室で意見が対立している。ヤマハ音楽振興会や河合楽器製作所などが結成する「音楽教育を守る会」は「教室での演奏は聞かせることが目的ではなく、演奏権は及ばない」とJASRACに反論。支払い義務はないとして、7月にも東京地裁に提訴する見通し(関連記事)。
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