「眼鏡屋が作ったウェアラブル端末」で勝負 メガネスーパーの生存戦略
メガネスーパーは、100%子会社のEnhanlaboでウェアラブル端末事業の拡大を図る。眼鏡型ウェアラブル端末「b.g.」を企業向けに展開し、新たな収益の柱としていく。
眼鏡業界の老舗が新たな収益の柱として掲げたのは、「眼鏡屋ならではの視点で作ったウェアラブル端末」。メガネスーパーは6月20日に開いた決算発表会で、ウェアラブル端末やIoT(Internet of Things)分野の新規事業に注力すると発表した。
メガネスーパーの2016年度(16年5月〜17年4月期)通期業績は、売上高が178億9200万円(前期は157億700万円)、営業利益が4億2200万円(前期は5億2300万円)だった。
今後の収益源として期待するのが、ウェアラブル端末事業を目的に17年5月に設立した100%子会社のEnhanlabo(エンハンラボ)だ。Enhanlaboでは、21年度に11億7200万円の売上高と4億200万円の営業利益獲得を目指している。
同社の中核事業に据えるのは、眼鏡型ウェアラブル端末「b.g.」(ビージー)。企業向けの製品で、製造、物流、医療などの現場での活用を見込む。現在は開発中で、18年中に量産体制を整える計画だ。
法人向け眼鏡型ウェアラブル端末としてはエプソン「MOVERIO」などが先行している。Enhanlaboの座安剛史社長によれば、b.g.は「眼鏡屋として見え方とかけ心地を追求した」という。かけ心地を考慮した眼鏡フレーム、黒目の位置に合わせたディスプレイ距離の調整などで「はっきりと見えつつも、疲れにくい使用感を実現した」。
1月に公開したプロトタイプは、通常の眼鏡に解像度1024×768ピクセルのノンシースルー型ディスプレイ2枚をレンズの上から装着するスタイルだったが、今回、2枚のレンズの真ん中に1枚のディスプレイを置くデザインへの変更を発表。実視界と映像のバランスを考慮して広い視野を確保しつつ、フロントディスプレイ部の軽量化を図った。
座安社長は「眼鏡屋としてのこだわりはそのままに、よりよい形に改良した。量産体制を整えるにあたり、歩留まりを意識した部分もある」と説明する。改良版もプロトタイプと同様に、要視力矯正者も使用できるという。
メガネスーパーは11月に持株会社・ビジョナリーホールディングスを設立し、同業他社の買収や連携を進め、事業拡大を図るという。新会社で社長を務める現メガネスーパー社長の星崎尚彦氏は「既存のアイケア領域のロールアップと新規領域の拡大を進めながら、新会社を中心にグループの業績を伸ばしていきたい」と語った。
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