手持ちの品、即現金化「CASH」査定中止 初日に3.6億円分利用、「夢にも思っていなかった」と運営元
手持ちの品をスマホアプリに入力するだけで査定額が表示され、現金を受け取れるアプリ「CASH」。初日だけで3億6000万円分以上の利用があり、査定機能を停止した。
ネットベンチャーのバンク(東京都渋谷区)は6月29日、ユーザーが手持ちの品をスマートフォンアプリに入力するだけで、その品の査定を受けられ、査定額相当の現金をすぐに受け取れるiOSアプリ「CASH」(キャッシュ)の査定機能を一時停止したと発表した。サービス開始初日の28日だけで3億6000万円分以上の利用があり、同社の処理能力を超えたとし、「初日にここまで多く利用されるとは夢にも思っていなかった」と見通しの甘さを謝罪している。
CASHは、スマートフォンアプリから商品のブランドや状態を選び、写真をアップロードすると、即座に「査定」を受けられ、査定額(上限は2万円)相当の現金を、銀行振り込みかコンビニで受け取れるアプリ。スマートフォンがあれば誰でも無審査で利用できる。査定を受けた商品は、集荷依頼して2カ月以内に同社に送る(送料無料)か、返金手数料(査定額の15%)を支払えば手元に残せる。査定額は、ユーザーが選択した商品ジャンルや状態を基に計算されており、写真は審査していない。
28日のサービス開始と同時にTwitterで話題になり、利用が急増。バンクによると、アプリによって手持ちの品が現金化された回数は約7万3000回(うち、集荷依頼のあった品は7512個)、現金化総額は約3億6600万円、1アイテム当たりの平均査定額は5031円、アプリの想定ダウンロード数は約2万9000回だったという。
同社は29日、「想像をはるかに超えた利用があった」とし、一時的に、商品の査定機能を停止したと発表した。同社は社員4人ほどの企業で、「毎日7000点以上の商品を受け取ったり、3億5000万円以上の現金を供給する体制や規模が整っていない」ためという。「ここまで多くのみなさまに、初日に利用してもらえるとは、正直なところ、夢にも思っていませんでした」とつづっている。現金の引き出しなど査定以外の機能は引き続き提供している。
CASHは、身近なFinTechサービスとして注目を集めた一方、「返金手数料を利息ととらえると出資法の上限を大きく超えており、ヤミ金に近いのでは」「選んだ商品カテゴリーと写真が無関係でも一定の査定額が表示されるなど、査定が雑すぎる」などの批判や、未成年の利用を危ぐする声もある。
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