鳥インフルエンザ、哺乳類間で飛沫感染 パンデミックの可能性 東大など研究
鳥インフルエンザウイルス(H7N9)を東大などが分析したところ、哺乳類間で飛沫感染することが分かった。
東京大学はこのほど、鳥インフルエンザウイルス(H7N9)が哺乳類間で飛沫感染し、致死的な感染を引き起こすことが分かったと発表した。フェレットを使った実験で判明した。ヒトからヒトへと感染し、世界的大流行(パンデミック)を引き起こす恐れがあるとしている。
鳥インフルエンザウイルス(H7N9)は、家禽への病原性の強さで「低病原性」と「高病原性」がある。ヒトの場合、感染した鳥に触れるとまれに感染するケースがあり、2013年以降、中国を中心に1589人が感染し、うち616人が死亡。低病原性のウイルスが16年後半に高病原性へと変異していたことが分かっている。
研究グループは、中国の患者から分離した高病原性のH7N9を分析。ウイルス粒子の表面にあるタンパク質がヒトの細胞表面にある受容体を認識して感染、広がっている可能性が高いことを突き止めた。分析したウイルスからは、ヒトの受容体に認識されやすくなるアミノ酸変異や、哺乳類の細胞で増殖効率が高まる性質も見つかったという。
また、高病原性のH7N9に感染したフェレットの飛沫で、隣接するゲージ内のフェレットに感染が広がるかを調べたところ、4ペア中3ペアの感染を確認。飛沫感染した3匹のうち2匹が死亡した。少量でも体内に入ると感染し、肺や脳で増殖、死亡することが分かったという。
こうした研究結果は、パンデミックの予測や感染拡大防止に加え、ワクチンの備蓄・製造方針の決定などに役立つとしている。
研究には東京大学のほか、国立感染症研究所、米ウィスコンシン大学、米スクリプス研究所などが参加。成果は米科学誌「Cell Host &Microbe」(電子版)に10月19日付(米国東部時間)で掲載された。
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