「Firefox Quantum」(バージョン57)公開 高速化とUI刷新
Mozillaが「2004年のFirefox立ち上げ以来最大のアップデート」と称する「Firefox Quantum」の正式版を公開した。新ブラウザエンジン「Servo」で高速化、省メモリ化を実現したとしている。
米Mozilla Foundationは11月14日(現地時間)、Webブラウザ安定版のアップデートとなる「Firefox 57」を「Firefox Quantum」としてデスクトップ(Windows、Mac、Linux)およびAndroid向けに公開した。
Firefox Quantumは、昨年10月発表の次世代エンジンプロジェクト。Firefoxの性能に“quantum leap(飛躍的進歩)”をもたらす改革としていた。新ブラウザエンジンプロジェクト「Servo」の下、ブラウザエンジンの基本を再考し、CSSスタイルの適用方法やDOMの遂行などの基本的な要素を再設計したという。
一般ユーザーにも分かるレベルの多数の変化がある。最大の変化はスピードだ。半年前(3月)リリースの「Firefox 52」と比較して処理速度が2倍になり、メモリ使用量の効率はGoogle Chromeを30%上回るとしている。Chromeユーザーの頭痛の種である多数のタブを開いた場合のメモリ消費が、Firefox Quantumでは少ないようだ(Windows 10の「タスクマネージャー」で比較してみた)。
ボタンなどのデザインも変わった。ページ操作関連のツールとPocketボタンがツールバー内に入り、ナビゲーション類は左側に寄せられた。Mozillaが「Photon UI」と呼ぶ新しいユーザーインタフェース(UI)は、デスクトップやモバイルで統一し、新しい高速なエンジンを生かすものにしたとしている。
なお、アドオンが刷新されてこれまでのアドオンは使えなくなるので、愛用アドオンがあるユーザーはアップデート前に注意が必要だ。
「Firefox 56」で追加されたスクリーンショット機能がページ操作ツールとして使えるようになった。[・・・]→[スクリーンショットを撮る]→[ページ全体を保存]を選択すれば、縦長なページでも全体を保存できる。
Mozillaは今回のアップデートは「2004年のFirefox 1.0立ち上げ依頼の最大のアップデート」だとしているが、Mozillaフェローのデビッド・ブライアント氏はMediumで、「Firefox Quantum」はまだプロジェクトの始まりにすぎないと語る。今後、グラフィックスのレンダリングを改善する「WebRender」やMR向けの3D環境などの機能を投入していく計画という。
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