ハウステンボスが12月4日に発表した2017年9月期決算(16年10月〜17年9月)では、同社単独の取扱高(売上高)は291億5000万円(前期比101.9%)、営業利益は75億8700万円(同100.1%)と増収増益だった。ロボットが従業員として働く「変なホテル」などが好調だという。
決算発表会はハウステンボス会場と中継し、代表取締役の澤田秀雄社長(左)はハウステンボス会場に出席した。澤田社長は6〜7年の間半分以上ハウステンボスにいたが、ハウステンボスに来る時間を3分の1くらいに削減し、若手の経営陣育成体制を作っていきたいとしている
増収増益を後押ししたのは、長崎県佐世保市の大型リゾート施設「ハウステンボス」に隣接する「変なホテル」。受付や荷物の預かりなど、ロボットがほとんどの業務を担い、ロボットだらけのホテルとして話題になった。「8億円の売り上げがあったら5億円の利益があるくらい、世界一生産性の高いホテル」(澤田秀雄社長)
来年末ごろには、最新薄型太陽光電池や植物を採用する最新蓄電池を投入した3号棟もオープンする予定。この1年間でも全国で10棟を新設する予定で、3〜5年以内に世界で100棟まで拡大していくという。
また、来場者を増やすための施策として、「日本一、世界一、日本初、世界初」という考え方のもとイベントを実施する。費用対効果を意識しながら、インパクトのある大きなイベントを年2回は実施したい考えだ。例えば、アニメ『ワンピース』の海賊遊覧船「サウザンド・サニー号」の制作には3〜4億円掛ったが、100万人以上が乗船したため十分に採算がとれたという。
今後は、12月16日にオープンする、壁から天井まで総金箔貼りの「黄金の館」や、木と木の間にワイヤを張り、そこを滑車で滑り降りる「ジップライン」のパイプ版「パイプレールコースター」、ハウステンボスから船で約40分くらいで行ける「無人島計画」などを展開。
特に無人島計画は、AR(拡張現実)を使った無人島探検やセンサーなどで動く恐竜を導入し、1〜2年かけて面白い“ジュラシックアイランド”を作りたいという。島までの移動も、同社が持つ遊覧船のほか、18年から始まる水上ホテルの実験が成功し次第水上ホテルでの移動も視野に入れているという。ゴールデンウィークにプレオープン、夏に本格オープンの予定で、詳しい内容は決まり次第発表する予定。
パイプレールコースターは、3月1日オープン予定。全長250メートルで、遊戯時間は約30秒。スタート地点は高さが11メートル、ゴールは3メートル。その高低差を利用し、引力だけで移動する。物理的には3歳から90歳まで乗れるという
また、17年夏に行われたナイトプールが好評だったことから、「18年は、砂浜を作った新しいプール」を作る予定。ハワイで泳いでいるような雰囲気を持ったプールができるという。
17年9月期の入場者数は前期比99.5%の288万1000人だったが、18年度は302万人が目標。売上高も初の300億円突破を目指す。
入場料金が18年3月1日から値上げとなり、現在4400円の入場チケットは4500円に、6900円の1DAYパスポートは7000円に(いずれも大人料金)になるが、「100円以上のイベントをやりますので」と澤田社長は意気込みを見せる。
「できれば1〜3年以内に社長をバトンタッチしたい」と澤田社長。新体制への移行も進めつつ、「今期は目標は低めに設定し、来期からは再び2桁成長を目指す」とした。
(太田智美)
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