niconico“炎上発表会”の舞台裏 「新しいものは賛否両論あっていい」 新トップ栗田取締役独占インタビュー:川上氏の思いは(3/5 ページ)
川上量生氏が運営責任者をしりぞき、新体制でスタートを切った動画サービスの「niconico」。“大荒れ”だった発表会の裏側や、これからのniconicoが目指す方向性について、新トップの栗田穣崇取締役が語った。
栗田 12月12日の“謝罪生放送”(ユーザーとの意見交換会)をやると決めたときです。「どうすればユーザーが本当に納得するのか」を川上と話し合い、これまで川上がやっていた“運営の顔”としての役割を僕がやることに決まり、彼は責任者を退くことで責任を取ると。
── 現状を考えると、その人事が適切だと。
栗田 川上は、新しいものを生み出す力はものすごい。しかし、今のniconicoは、動画や生放送など既存サービスを通してどうやってお客さんと向き合っていくかというフェーズなので、お互いやることを切り分けようと。
── その後は代表取締役会長の退任も告知され、川上さんは「新技術の開発に集中」とありました。
栗田 今、彼が自信を持って取り組んでいることがあって、今年中に彼の口から改めて発表があると思います。去年頃から仕込んでいる新サービスです。僕が関わった新サービスも今年中に発表できると思います。
── それは楽しみです。今の川上さんは現場に近い場所でniconicoの事業にも関わっているのでしょうか。
栗田 逆に、クレッシェンドの発表会まではここ2年くらいずっと現場にいましたよ。ここ最近で一番働いていたと思います(笑)。新サービスは「動画でも生放送でもない何か」ということだけ……。
── 謝罪生放送の前に、川上さんが1カ月ぶりにTwitterを更新したのも気になりました。
栗田 彼なりに「自分で何とかしなきゃいけない」と思っていたようです。結果的に生放送がうまくいったので、僕に任せようと。
── 生放送では厳しいコメントや質問も飛び交いましたが、番組最後の「栗田さんは信用できるか?」と題するアンケートでは、67.3%が「信用できる」と回答しました。
栗田 生放送や要望の受け付けを始めてから、流れがガラッ変わりましたね。発表会後はいろいろなお叱りや非難がありましたが、最終的に応援してくれるファンの人たちが残って、きちんと意見を伝えてくれたので、こちらの姿勢が伝わったのかなと。
── 生放送のコメントは40万件を超えました。熱心なユーザーはついてきてくれていると。
栗田 昔のniconicoはマスに対抗する格好良さがあったのですが、今は完全にマスです(17年9月末時点でID発行数は6832万人)。
なので、熱心なファンだけに通じるハイコンテクストなコミュニケーションでは通用しなくなっている。そこの使い分けはしないといけないなと。
niconicoの武器、プレミアム会員のメリットは?
── 今は「プレミアム会員」(月額540円、税込)であるメリットが薄いという意見もあります。
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