表示速度が“爆速”なサイト、相次いで登場 その背景は(2/2 ページ)
ページの読み込み速度が“爆速”のサイトが相次いで登場。どのサイトも「CDN」という技術を利用している。その仕組みは。
ダグ氏によれば「(CDNは)使われ始めて20年くらいはたつ」という。当時はISDNやADSLなど、現在に比べるとかなり遅い回線が主流だったため、プロバイダーなど「とにかくユーザーに近いところにキャッシュ用のサーバを置き、効率よく配信する仕組みを作る」という考えだった。
ただ、実現には全世界で何十万台のサーバが必要になり、CDN事業者が管理するのに手間がかかるという課題があった。例えば、コンテンツ配信元が内容を変更した場合、新しいコンテンツが末端のキャッシュサーバに反映されるまで数十分〜数日と時間がかかっていた。
ダグ氏は、配信元からすると「自分たちのインフラはリアルタイムにコントロールできても、CDNは制御ができないというギャップが生まれていた」と話す。「配信元が内容を変更する時は、閲覧者が少ない夜中に行うなど、なるべく時間を確保する運用をするしかない、という“諦め”があったのではないか」
しかし現在、ネットのボトルネックは末端のユーザー側ではなく、より上流に近いIX側にあることが多くなった。CDN事業者としては後発だったファストリーは、そうした上流部分にキャッシュサーバを集中的に配置、管理することで、台数を数十に減らし、キャッシュの削除にかかる時間を早めたという。
また、伝統的なCDNの場合、どれくらいの期間、分散配置したサーバにキャッシュしておくかという生存時間(Time To Live、TTL)を設定しコントロールしていた。ファストリーの場合は、そうしたTTLの概念は残しつつも、最速200ミリ秒でキャッシュを削除する機能(インスタントパージ)を導入した。
ファストリーが日本オフィスを構えたのは2015年7月。「(当時のユーザーは)CDNをリアルタイムでコントロールできることはあり得ないという“思考の壁”があり、取り除くのに時間がかかった」とダグ氏。「2年間、地道な種まきをして芽が出て実がなった」
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