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「利益で留年した学費支払った」 学生にも仮想通貨取引広がる

大学生の間で仮想通貨取引が広がっているという。奨学金を元手に仮想通貨取引をするYさんに話を聞いた。

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 ネットを使って少額でも取引できる気軽さから、仮想通貨取引を行う大学生が増えているようだ。奨学金を元手に利益を出し、留年した分の学費を支払ったという大学生に話を聞いた。

「しばらく右肩上がりするのでは。自信があった」

 都内の私立大学に通うYさん(大学4年)が仮想通貨取引を始めたのは2017年1月。ビットコインや、リップルのようなアルトコインの取引を行ってきたという。自己資金よりも多くの金額を取引できるレバレッジ取引(FX)にも手を出した。

 (アルトコイン:ビットコイン以外の仮想通貨)

 「投機を始めてみたいと思ったのがきっかけ。株と違い、少ない金額から参入できるのが魅力」(Yさん)

 仮想通貨購入の資金は、日本学生支援機構から貸与された奨学金を使った。Yさんは現在、1年留年しており、学費を奨学金と自身の収入で賄う必要がある。その状況で仮想通貨取引を行うのはリスクが高く、不適切な場合もあるのではと尋ねると、「当時のビットコインのチャートを見ていたら、しばらくは右肩上がりをするのではないかと思った。自信があった」と答える。結果、仮想通貨取引で得た利益で学費を賄えたという。

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仮想通貨コインチェックのチャート

 Yさんの周りにも、もともと投機に興味があった大学生を中心に仮想通貨取引を行う人がいるという。取引所国内大手の「bitFlyer」では、0.01BTC=1万349円(15日午前1時時点)からビットコインを購入できる。日本学生支援機構の調査によると、大学生の平均的なアルバイト収入は年間約32万円(平成26年度学生生活調査)とあり、大学生の収入でも十分に購入できる範囲だ。

 一方、Yさんは17年12月に利益確定して以来、仮想通貨取引をやめたと話す。「理由はいくつかあって、取りあえず税金の計算をするために年末で利確したかったのです。目標の学費を稼ぐことは達成したし、仮想通貨の右肩上がりが終わりつつあって、利益を上げることが難しくなりそうだったので、いったんやめました」(Yさん)

 将来、就職してまとまった収入が入り、ビットコインのチャートが安定したら先物取引をしてみたいという。

仮想通貨、通貨として見られず

 Yさんは、仮想通貨を通貨としては見ていない。「各種コインを保有してきたが、電子マネー決済を差し置いて仮想コインを使う必要性は無いし、あくまで投資商品だと考えている」(Yさん)。

 仮想通貨は政府や金融機関が発行する法定通貨のような中央集権型の仕組みではない。安い送金手数料や送金が短時間で済むなど、使い勝手のいい新しい通貨として期待されているが、価値の上げ下げが激しいことから、投資や投機を目的に購入する人が多い。

 Yさんは大学の卒業要件を満たしておらず、4月には“大学6年生”になる。学費は、仮想通貨取引で得た利益の残りから出す予定だ。

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