絶好調ソニーを苦しめるモバイル事業 スマホ販売縮小も「5Gは将来の果実」
ソニーは4月27日、2017年度の連結業績(17年4月〜18年3月)を発表した。営業利益は7349億円と1998年以来20年ぶりに過去最高益を更新。モバイル分野を除くほぼ全てのセグメントが黒字だった。
ソニーは4月27日、2017年度の連結業績(17年4月〜18年3月)を発表した。売上高は前年度比12%増の8兆5440億円。営業利益は7349億円と1998年以来20年ぶりに過去最高益を更新した。スマートフォン向けイメージセンサーが好調の半導体事業が利益を押し上げたほか、モバイル分野を除くほぼ全てのセグメントが黒字だった。
吉田憲一郎社長の後任としてCFO(最高財務責任者)に就任した十時裕樹氏は、「経営方針説明会で約束した数字ができた」と安堵の表情を浮かべる一方で、「ソニーはこれまで5000億円以上の連結営業利益を続けたことはない。この中期は利益を安定的に出すことに主眼を置く」と慎重な姿勢を崩さない。「緊張感を保つことが重要だ」(十時氏)
セグメント別では半導体分野の収益性改善が大きい。事業規模を縮小したカメラモジュール事業で大幅な減収があったものの、モバイル機器向けイメージセンサーの販売数量が大幅に増加したこと、前年度に熊本地震の影響で生産減少があったこともあり、売上高は前年度比10%増の8500億円となった。「イメージセンサーはセンシングや監視、FA、車載など新しい分野でさらなる成長を期待している」(十時氏)
【訂正履歴:2018年4月28日18時00分更新 ※初出時、「モバイル向けイメージセンサーはセンシングや監視……」としていましたが、「モバイル向け」を削除いたしました】
ゲーム&ネットワークサービス分野も好調。有料会員サービス「プレイステーション プラス」加入者増とネットワークを通じたソフトウェア販売が牽引した。音楽分野では、モバイルゲーム「Fate/Grand Order」が引き続き好調だったほか、ストリーミング配信の売上増加などで増収となった。
テレビやカメラ、オーディオ機器を含むブランデッド・ハードウェア分野は高付加価値モデルへの注力が功を奏して収益を改善したものの、スマホの販売台数の落ち込みと部品価格の上昇などにより、モバイルコミュニケーション分野で276億円の損失を計上している。18年度は収益構造の改善をかかげ、「年間1000万台程度でも利益を出せる構造」を目指してスマホの販売台数を絞り込む。
一方、5G(第5世代移動通信方式)への投資は継続。十時氏は「5G技術は将来、(スマホだけではなく)さまざまな機器に入ってくるだろう。われわれのブランデッド・ハードウェア分野にとって大きな果実になると考えている」と話している。
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