「5G時代、テレビ広告収入は一気に減る」 SHOWROOM前田社長
「5Gが登場すると、テレビ広告からモバイル広告への転換が進む」――SHOWROOMの前田裕二社長はそう話す。
「5G(第5世代移動通信方式)が登場すると、テレビ広告からモバイル広告への転換が進む」――ライブ配信サービス「SHOWROOM」を運営するSHOWROOMの前田裕二社長はそう話す。「テレビの広告収入が一気に落ちる」(前田社長)
前田社長によれば、テレビ広告のように多くの視聴者に広告をリーチさせる「幅×広告」のビジネスモデルは、モバイル動画サービスに適していなかったという。だが5Gがもたらす通信の低コスト化と省電力化が、そうした課題を解消する可能性があるとみる。
都内で7月19日に開かれたイベント「Softbank World 2018」で、動画ビジネスの分析と展望を語った。
現状のモバイル動画は「深さ×課金」
前田社長は「現在、モバイル動画は『深さ×課金』のビジネスモデルにすると成功しやすい」と説明する。
SHOWROOMはこのビジネスモデルを採用しているという。プロかアマチュアかを問わず、誰でも生配信できるSHOWROOMは、配信者と視聴者がリアルタイムに交流して生まれる臨場感や一体感が魅力だ。メジャーデビューを夢見るアイドルやタレントの卵たちが、ファンを集め、絆を深める場にもなっている。
ストリートミュージシャンに“投げ銭”をするように、視聴者が応援したい配信者にアイテムを贈れる「ギフティング」という仕組みも特徴の1つ。配信中、投げ込まれた無料・有料アイテムの数量に応じ、配信者に報酬が支払われる。
SHOWROOMの収益源は、視聴者が購入する有料アイテムのみだが、日本国内の動画配信アプリでは収益トップ(2017年1〜6月、App Annie調べ)。視聴者が配信者に抱く共感や感動をマネタイズする「深さ×課金」のビジネスモデルが当たったと、前田社長は分析する。
通信とバッテリーの制約が解消?
逆に、モバイル動画で「幅×広告」のビジネスが成立しにくいのはなぜか。前田社長は、通信とバッテリーの制約を理由に挙げる。「スマートフォンで動画を見ることは、基本的に無料ではない。若年層ほどそう感じている」(前田社長)
Wi-Fiが使えない環境下で動画を視聴し続けていると、月ごとに利用できるデータ通信量を超え、通信速度が制限されてしまう――そう恐れる人は少なくない(関連記事:若者はみんな使っている? 謎のワード「ギガが減る」とは )。長時間の動画視聴は、スマホのバッテリー消費が激しいという課題もある。
こうした状況を打破するのが、5Gによる通信の低コスト化(低遅延)と省電力化という。5Gは、現在の4Gと比べて通信の高速化・大容量化が期待されている。大量のデータをやりとりしやすくなる一方、料金プランが現状と大きく変わらず、消費電力も抑えられれば、動画視聴を後押しする要因になる。
モバイル動画で「幅×広告」のビジネスモデルが成立すると、広告の出稿先は、テレビ広告からモバイル広告に転換が進むという。前田社長は「テレビ広告収入が一気に減少するきっかけになるのではないか」と主張する。
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