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ランキングは必要か? コンテンツ配信の「反響」と「新しさ」(1/4 ページ)

TVerにあって、Netflixにないもの。それはランキングだ。コンテンツ配信サービスの最新事情を西田宗千佳さんが解説。

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 私たちは、日々新しい情報に接しつづけている。まだ見たことのない、新しいコンテンツに出会うことは、人生の喜びのひとつ。少なくとも、筆者はそう思っている。

 コンテンツマーケットの拡大により、「新しいコンテンツ」の市場はひろがっている。一方で、その「新しさ」の定義、新しいものを知るためのアプローチも大きく変わっている。

 今回は改めて、人にとっての「新しさとはなにか」「新しいコンテンツを知るとはなにか」ということを考えてみたい。

この記事について

この記事は、毎週金曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2019年2月8日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額648円・税込)の申し込みはこちらから。


ネット配信の「視聴数」を巡る騒動

 2月6日付のWall Street Journal紙で、次のようなニュースが報じられた。

 内容を簡単に説明すれば、FOXの幹部がNetflixが公開している自社作品の視聴者数の値が、一般的なテレビでの視聴者数統計とは違う基準による数字になっていて、過大なものになっていると主張している……という話である。

 記事によれば、Netflixはドラマ「YOU-君がすべて」は配信開始4週間で4000万以上の世帯で視聴されている、と主張しているのだが、FOXは「一般的な指標に基づくものではない」としており、ニールセンは「800万」としている。

 この件は、ある意味「どっちもどっち」だと思っている。新たなライバルに追い立てられている企業側が「ライバルの数字は過大だ」と主張し、追い立てる側は「彼らの指摘は正しくない」と言っているわけで、単純にどちらがどう、という話でもないだろう。放送と配信では「見始めるためのフック」や「視聴中の行動」も違うので、水増しというよりは、確かに「指針が違う」のだ。

 そもそも、Netflixは基本的に視聴数や視聴ランキングなどを公開しない。そのため、ニールセンは独自に調査を行なって公表している。前出の数字はそれなのだが、これについてNetflixは「不正確である」と当初より反論している。昨年末より、いくつかのヒット作品について数字を出すようになってきたが、これは例外といっていい。

 なぜNetflixはランキングや数字を出さないのか? なのになぜ一部タイトルで出すようになったのか? ここがポイントなのだ。

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