日本マイクロソフトは8月29日、人間のトッププレイヤーに匹敵する強さの麻雀AI「Suphx」(Super Phoenix、スーパーフェニックス)を開発したと発表した。国内最大級のオンライン麻雀サイト「天鳳」で、AIとして初めて十段に到達した。
研究開発機関のMicrosoft Research Asiaが開発した。Suphxは19年3月、4段以上のプレイヤーのみが参加できる天鳳内の「特上卓」に出現。人間のプレイヤーと5000回以上対局し、6月に十段になった。天鳳のユーザー数は33万人で、19年8月時点で十段を維持するプレイヤーは12人しかいないという。
麻雀は、対戦相手の手牌などの情報が把握できない「不完全情報ゲーム」だ。自分の手牌と捨て牌以外の情報が分からず、運の要素も大きいため、AIで解析するのが難しいとされている。
Suphxでは、与えられた環境における価値を最大化するようにエージェントを学習させる強化学習(reinforcement learning)の手法をベースに、同社で独自のアルゴリズムを開発した。全8局を1ゲームと捉え、1ゲームの総得点が最大化するような戦略をSuphxが考えるという。
学習の初期段階では、対戦相手の手牌や山の中の牌など、本来なら隠れている情報を全て公開して自己対戦を繰り返した。隠された情報がある状態で学習するよりも、学習効率を向上できたという。
日本マイクロソフトは、不完全情報ゲームのAI開発で培った知見を産業に応用する考え。自動運転や金融投資など、未知の情報が多く、偶発的な要素に影響を受けやすい領域での問題解決に役立てたいとしている。
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