リチャード・ストールマン氏、MITの役職とFSF総裁を辞任 エプスタイン関連コメントへの批判で
フリーソフトウェアの擁護者として知られるリチャード・ストールマン氏が、マサチューセッツ工科大学人工知能研究所の役職と、自身で創設したフリーソフトウェア財団の総裁職を辞任した。“エプスタイン騒動”で故マービン・ミンスキー氏を擁護しようとした発言が誤解を招いたためとしている。
GNUプロジェクト提唱者でフリーソフトウェアの擁護者として知られるリチャード・ストールマン氏(66)は9月16日(現地時間)、マサチューセッツ工科大学人工知能研究所(MIT CSAIL)の役職を辞任すると、自身のWebサイトに転載したMITコミュニティ向けのメールで発表した。
同氏は「私はMITのCSAILでの職位から直ちに辞任する。これは、MITと私自身に対する一連の誤解と誤った評価からくる圧力によるものだ」と書いた。圧力とは、伊藤穣一氏のMIT所長辞任の引き金ともなった、ジェフリー・エプスタイン氏からの資金提供に関連するものとみられる。
ストールマン氏は、MIT人工知能研究所の共同創設者である故マービン・ミンスキー氏がエプスタイン氏が斡旋した未成年者と性交したという報道について、ミンスキー氏を擁護するメールを書いたが、この中で「さまざまなシナリオが想定できる。最も妥当なシナリオは、彼女が自分から進んで行為を行ったというものだ」と書いたことで批判されていた。
ストールマン氏のCSAILでの肩書きは「Visiting Scientist」となっている。本稿執筆現在、この件に関するMIT公式の発表は特にない。
【UPDATE】同日、ストールマン氏が創設したフリーソフトウェア財団(FSF)が、同氏が総裁と取締役を辞任したと発表した。後任は取締役がこれから探すとしている。
【更新履歴:9月17日午後5時30分 フリーソフトウェア財団の総裁辞任についての情報を追加しました。】
【更新履歴:9月17日午後5時45分 「オープンソースの擁護者」を「フリーソフトウェアの擁護者」に訂正しました。】
【更新履歴:9月30日午後2時50分 故マービン・ミンスキー氏について「MIT創業者」としていましたが、正しくは「MIT人工知能研究所の共同創設者」でした。おわびして訂正いたします。】
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