KDDIの19年度上半期、営業利益1.4%減 楽天対策でスマホ乗り換え促進 肩透かしも「気緩めず」
KDDIが2019年度上半期(4〜9月期)の連結決算を発表。売上高が前年同期比4.2%増の2兆5645億円、営業利益が1.4%減の5534億円、最終利益が0.6%増の3475億円だった。楽天の動きを警戒し、3G携帯電話の利用者に4G対応端末への移行を促した影響で減益となった。
KDDIが11月1日に発表した2019年度上半期(4〜9月期)の連結決算は、売上高が前年同期比4.2%増の2兆5645億円、営業利益が1.4%減の5534億円、最終利益が0.6%増の3475億円だった。主な増収要因は、金融・コマースなどの「ライフデザイン領域」と法人向け通信事業が好調だったこと。消費者向け通信事業で、3G携帯電話の利用者に4G対応端末への移行を促す施策を行った影響で営業減益となった。
コストを投じてフィーチャーフォンユーザーのスマートフォン移行を促した理由は、当初は10月に楽天がMNO事業に本格参入し、初めてスマホを使う人を対象に格安プランを展開する可能性があったため。KDDIの高橋誠社長は「上期に楽天参入を想定した施策を打ち、下期に経営的な余裕を持たせる計画だった」と説明した。
結果的に楽天の基地局整備は予定通り進まず、10月から5000人限定の無料サービスを始める形にとどまっている。当面は楽天との価格競争が起こる恐れはなくなったが、高橋社長は「気を緩めることなく対応していきたい」と強調した。
仮想化ネットワークの構築と基地局を作ることは別
楽天のつまづきについて、高橋社長は「仮想化ネットワークの構築と基地局を作ることは別物。10月1日に(設備が)そろうとは思っていなかった。『そうだろうな』と感じた」と明かした。ただ、楽天が月額料金を無料とし、MNOサービスをスモールスタートで始めたことは予想外だったという。
KDDIは楽天とローミング契約を結び、楽天が自前のネットワークを持たないエリアで通信サービスを提供している。楽天が全国で有料サービスを始めるまでは、KDDIのネットワークは想定よりも利用されない可能性が高いが、高橋社長は「固定額と従量課金制を組み合わせた契約で、(楽天のサービスが無料の間も)一定のローミング料を得ている。業績への影響は大きくない」と述べた。
苦難続くも「増収増益を確保」
KDDIは19年度上半期に、2年定期契約の契約解除料を1000円に引き下げるなど、通信事業の軌道修正を余儀なくされた。高橋社長はこのことにも触れ、「期初に描いていたプランとは全く違った展開になっている」と説明した。ただ、コストカットなどの取り組みによって2Q(7〜9月)単体では営業増益に転じているという。
ただ、10月には改正電気通信事業法が施行され、携帯キャリアの端末割引が2万円までに制限された。KDDIは、端末代の最大半額を免除するとしていた「アップグレードプログラムDX」が政府に批判され、終了と内容の見直しも強いられた。
下半期の立ち上がりも厳しい状況が続いているが、高橋社長は「通期目標を予定通り達成し、増収増益を確保する」と強調した。
通期連結業績予想は、売上高が前年比2.4%増の5兆2000億円、営業利益が0.6%増の1兆200億円、最終利益が0.4%増の6200億円のまま据え置いた。
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