携帯キャリアが“VR最前列”に熱視線? ドコモも8KVRライブを配信 5Gが追い風に
NTTドコモが、8KのVR映像を配信するサービスを始める。アイドルのライブのVR映像配信も行い、新規ユーザーの獲得を狙う。5Gの商用化を見越し、携帯キャリア3社は現在、同様の取り組みに注力している。
NTTドコモは1月22日、音楽ライブなどのリアルタイム配信サービス「新体感ライブ」を刷新すると発表した。サービス名を「新体感ライブ CONNECT」に変更し、8KのVR映像を配信する「8KVRライブ」機能を3月18日に追加する。今後は5Gの商用化を見据えてコンテンツを拡充し、新規ユーザーの獲得を狙う。
8KVRライブ機能は、複数台のカメラからの映像をつなぎ合わせて360度映像を作るリアルタイムスティッチング技術と、利用者の視聴範囲のみを高解像度で配信し、再生処理負荷を軽減する配信技術を活用する。
ドコモの吉澤和弘社長は「(あたかも会場の最前列にいるかのような)“バーチャル最前列”を体験できるサービスになる」「高速、大容量を生かした5Gを象徴する体験ができるもの」と期待を寄せる。
リニューアルを記念し、アイドルグループのSixTONESとSnow Manが出演する音楽イベントを都内で3月18日に開催する。ライブの模様は、別途設けるライブビューイング会場に5Gで伝送する他、視聴者のスマートフォンにもリアルタイムで配信する。視聴者はスマホに別売のVRゴーグル(税別3300円)を装着すると、最前列から撮影した8KVR映像を体験できる。
ソフトバンク、KDDIもVR配信に熱視線
ドコモだけでなく、他の携帯キャリアも5Gの商用化を見越して、芸能人などのライブのVR配信に注力し、ユーザー獲得を狙っている。いずれのサービスも、ステージの最前列などにVRカメラを設置し、臨場感ある映像を提供しているのが特徴だ。
ソフトバンクはAKB48グループの劇場公演の配信を2月に始める。KDDIは、日本一の漫才師を決める「M-1グランプリ 2019」のVR映像を、大会終了後にネットで配信した。
各社がコンテンツ配信サービスに注力する中、ドコモも本腰を入れる。同社は今後、アーティストのライブ映像に限らず、演劇やスポーツイベントなどにVR配信の幅を広げる考えだ。動画配信サービス「dTV」、音楽聞き放題アプリ「dヒッツ」とのシナジーも期待できることから、既存サービスと融合させたサービス展開も検討するという。
ソフトバンクも今後、VR配信するコンテンツを拡充する方針だ。5Gの商用化が近づくにつれて、その強みを生かせるVRコンテンツ市場で、携帯キャリア各社の動きが加速していくとみられる。
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