タブレットPCに最適化されたグラフィックソフト「Alias SketchBook Pro 日本語版」が発売された。ペン操作を前提にしたクリエイター/ビジネス向けソフトとして工夫された、特徴のあるインタフェースと操作感を試してみた。
エイリアス システムズのタブレットPC(およびペンタブレット)向けグラフィックソフト「Alias SketchBook Pro 日本語版」(以下SketchBook Pro)が2003年12月に発売(2003年12月10日の記事参照)された。
メインターゲットはアーティストや設計者、イラストレーター。もちろんそのほかにも、ペン操作を行うあらゆるユーザーに対応するよう開発したという。インタフェースや操作感に大きな特徴のある同ソフトをタブレットPCを用いて実際に試してみた。
ちなみにエイリアス システムズは、プロ向けハイエンド3Dソフト「Maya」(参考)でおなじみだが、プロのニーズを知りつくしている同社が、どのようなタブレット向けソリューションを作り上げたか興味のあるところである。
SketchBook Proの標準価格は2万4800円。動作環境はWindows XP Tablet PC Editionを含むWindows XPおよび2000だ。同社のサイトからは15日間有効の体験版を入手できるので、まずは試してみるのもいいだろう。同ページより購入も行える。
SketchBook Proの操作画面は、左下にいくつかのアイコンが並ぶだけとシンプルだ。はじめはシンプルすぎて、何をどうすればいいのか分からないかもしれない。
しかし、そのアイコンにペンをタップしてみるとその使い方が感覚的に分かってくるだろう。左下に5つ並んだアイコンはツール、ブラシ、カラー、編集、ファイルのそれぞれの機能メニューがまとめられている。
機能を呼び出したいときには、メニューアイコンをペンでタップし、そのまま外側に向かってスライドさせるとサブメニューのアイコンが表示される。基本は目的の機能に向けてペンをスッと動かしていくだけである。アイコンにペンをあわせれば機能がポップアップするので迷うことも少ないだろう。
ちなみに、PhotoshopやPainterなど一般的なグラフィックソフトは、設定の変更操作が“クリック”(タブレットでは「タップ」)で、絵を描く・字を書くといった操作が“ドラッグ”と、操作感が異なる。無意識に使っているユーザーも多いだろうが、デザイナーにいわせれば、この二つの操作はまったく別のものだという。
一方SketchBook Proでは、絵を描くときと同じペン操作で設定やツールの切り替えが行える。ペンを動かす微妙なタッチをメニュー操作でも維持できる。
メニューアイコンからは詳細な設定画面を呼び出すことができる。ブラシツールや色のカスタマイズ画面もペンのみによる操作ができるよう随所に考慮されており、慣れてくると非常に使い勝手がよいと思えてくる。通常のソフトではメニューバーから行う操作のほとんどが、このメニューアイコンから行える。
また、メニューバーや操作アイコンなどの表示を自身で使いやすいようカスタマイズすることも可能だ。5つ並んだ機能アイコンのさらに左側にあるアイコンでは、メニューバーの表示、非表示やアイコンの表示位置などをワンタッチで切り替えることができる。イラストや絵を描く際、あるいはプレゼン時などにはアイコンが邪魔になることがなく、画面いっぱいに表示することも可能である。
新規ファイルのサイズは、デフォルトでは表示ウインドウサイズに準じて決定される。しかし、環境設定においてカスタムサイズを指定できるため、用途によってはあらかじめ大きな解像度のファイルも作成できる。
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