そして、旧ミノルタ技術陣の自信作である屈曲光学系は、レンズとしてもたいへん素性がよく使いやすいものに仕上がっている。
まずマクロ撮影。数センチまで寄れるデジカメが多い中、Xgの撮影可能距離は最短15センチと一見スペック的にはウィークポイントにみえる。だが、多くのデジカメが最短撮影距離を一番広角側(ワイド端)に設定しているのに対して、Xシリーズは初代モデルから“ズーム全域で切り替えなしにマクロが使える”という仕様を貫いてきた。
つまり光学3倍ズームの焦点距離37−111ミリ相当(35ミリ判換算)の最大望遠時(テレ端)でも、被写体に15センチまで寄れるのだ。マクロ撮影では被写体に近づきすぎて自分の手やデジカメが影を作ってしまうことがある。そんな時もテレ端でマクロ撮影することで、被写体に十分ライティングをして撮影することができる。
開放絞り値もF2.8〜F3.6と明るめで、手ブレが気になる夜景撮影なども薄型コンパクトボディながら意外とこなしてくれる。
また、モードダイヤルの形状が変更され、シンプルだが分かりやすく使い勝手のよいデザインになったほか、ダイレクト印刷が行えるPictBridgeにも対応。動画も30フレーム/秒(320×240ピクセル)とフレームレートが向上した(従来は最大15フレーム/秒)
1/2.7型有効320万画素(原色フィルター)のCCD、背面の1.5型低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレイ、記録メディアにSDメモリーカード/MMCを採用する点など、そのほかの基本スペックはXtと同じだ。
残念なのはXtから省かれた機能もいくつかある点だ。
一番大きいのは、携帯電話のように置くだけで充電が行えるチャージスタンドが廃止された点。充電の際には本体からバッテリーを外して、専用充電器に取り付けなくてはいけなくなった。また、専用AVケーブルを使ったTV表示機能も省略された。動画性能が向上しているだけに、次期モデルではぜひ復活を望みたい部分だ。
DiMAGE Xシリーズと同様方式のプリズムで光を90度屈曲させるインナーズームシステムを採用したソニーの薄型サイバーショット「DSC-T1」がコンパクト機の売れ筋トップになるなど、薄型ズーム機の十八番(オハコ)を奪われた感もあるが、逆にT1によって“元祖・屈曲光学系”のXシリーズが再度注目を集めているという話しも聞く。
Xシリーズを振り返ってみると、大きな仕様変更はせずに細かなマイナーチェンジを繰り返してきた。そしてロングセールスを続けている。つまり、それだけ基本性能が高いというわけだ。実際に使ってみると“薄型ズーム機の定番”として支持されているのがよく分かる。だが次期モデルでは、“コニカミノルタ”の合併効果が目に見えて分かるような、アッと驚く新製品も期待したい。
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