iPod miniのライバル、「MuVo2」の実力は?レビュー:クリエイティブメディア「MuVo2」4Gバイト(2/2 ページ)

» 2004年03月19日 23時53分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 4GバイトのHDDは、日立グローバルストレージ製の1インチHDDを使用している。64KbpsのMP3/一曲あたり約4分という条件なら、約2000曲の音楽を保存可能だ。ファイルの管理やトラック情報の編集、本体への転送には付属ソフト「Creative MediaSource」を使う。

photo 「Creative MediaSource」の画面(クリックで拡大)。大きく3つに分かれ、左がソース、中央がコンテンツ、右が転送先を示している

 MediaSourceでは、音楽CDからトラックを吸い出し、フォーマット変換してプレーヤーへ転送といった手順をシームレスに行える。ソフト起動中に音楽CDをドライブに入れると、中央の「コンテンツウィンドウ」に関連機能のボタンが現れる。「CDDB」ボタンで楽曲情報を取得したら、右側の転送パネルに「MuVo2」を表示して、矢印ボタンをクリック。別ウィンドウが開き、自動的にファイル変換と転送が始まる。

photo 音楽CDをPCに入れるとリッピングのメニューが出てくる。「直ちにリッピング」ボタンは、PCライブラリに加えるときに使う

 ファイル変換のデフォルト設定はMP3の128Kbps。変更したいときは、メニューから「ツール」を選択し、「設定」画面を開く。中にある「オーディオ/CDリッピング」タブでフォーマットとチャンネル数、ビットレートタイプを選べばいい。サポートしている形式は、下記の3種類。

フォーマット ビットレート
MP3 24-320Kbps(ステレオ)、8-128Kbps(モノラル)、可変ビットレート対応
WAVE 16bit/44.1KHz(ステレオ)
WMA 64-160Kbps(ステレオ)、8-128Kbps(モノラル)、著作権保護機能対応
photo 設定画面の「Media Sniffer」をチェックしておくと、メディアファイルの追加や削除、移動を検知してライブラリに反映してくれる

 ちょっと煩雑なのが、プレイリストの制作手順だ。というのも、これまで基本的に“左から右”へと流れていた操作手順が変わるから。慣れればなんでもないが、最初はとまどうかも知れない。

 まず、メニューバー左側で「オーガナイザ」を選択し、左のソースウインドウにMuVo2の「PLAYLIST」フォルダを表示、選択しておく(PCライブラリにプレイリストを作るときは『PCミュージックライブラリ』を選択)。その後、中央アイコンの「新規プレイリスト」をクリックして名前を付けて保存。さらに、右側の転送先パネルにMuVo2の音楽一覧を表示し、楽曲を選択、左向きの矢印をクリックするとプレイリストに曲目が追加される。

 MediaSourceを使えば、PC内にミュージックライブラリを構築したり、プレーヤーへの転送、プレイリスト作成などを一つの画面で行える。ただ、既にお気に入りの音楽ソフトを持っていたり、MP3に変換済みCDを多く所有している人などは、直接MuVo2に楽曲を転送してしまうほうが楽だ。MuVo2のインタフェースはUSB2.0で、USBマスストレージクラスに対応している。PC上では外付けHDDとして認識されるため、手元にある音楽ファイルをドラッグ&ドロップでコピーしていけばいい。

photo Windowsでプロパティをみるとこんな感じ。実質約3.78Gバイトとなる
photo もちろん、Mac(写真はMac OS X 10.3、ただしサポート外)でも外付けHDDとしてマウントできる。USB 2.0経由でアルバム1枚ぶん(約66Mバイト)の楽曲をコピーしたところ、約15秒で終了した

音質をチェック

 実は、クリエイティブメディアから評価用機材を借りるとき、「良いイヤホンを使うと、ホントに良い音で聴けますよ」と言われていたのだが、実際に使ってみて意味が分かった。MuVo2は、「ポータブルプレイヤーでは最高クラスの98dBのSN比を実現」と謳っているように、音質の良さを一つのアピールポイントにしている。だが、付属のイヤホンでは実力を発揮できないのだ。

 製品に付属しているのは、インサイドタイプの“ネオジウムマグネット搭載イヤホン”。しかしこれを使うと、全体にノイジーな印象で低音ばかりが強調され、中域以上の音が沈みこんでしまった。女性ボーカルの曲では特にこの傾向が顕著で、声が前に出てこない。しかも困ったことに、イヤーパッド部(直接耳に触れるトコロ)が大きすぎて、すぐ耳が痛くなる。このあたりは個人差もあるだろうが、少なくとも平均的な日本人には使いにくいサイズだ。

photo 右が付属のイヤホン。とりあえずでかい。左は普段使っている「MDR-MC11」

 で、手持ちのイヤホンに変えてみたら、明らかに音が変わった。使用したのはソニーのインナーイヤー型イヤホン「MDR-MC11」。これは、編集部の雑音から逃れるために購入した“ノイズキャンセリング機能”付きタイプで、とくに良い音に拘った製品というわけではない。だが、イヤホンを変えた途端、まるで1年間放置した窓ガラスを濡れ雑巾で一気に拭いたときのような爽快感を味わった。

 まっとうなイヤホンさえ使えば、音質に関して特に言うことはない。MP3なら64K-128Kbpsで十分鑑賞に耐える。ただ、個人的には、新規でCDからリッピングする場合、WMAの160Kbpsを使用している。保存できる曲数は減るものの、それに見合った音質を提供してくれるからだ。数多くの曲を溜め込めるのはHDD搭載型の大きなメリットだが、増えた容量を音質に費やすのも一つの手だろう。

 MuVo2の価格は、同社のオンライン販売サイトで2万7800円。内蔵HDDがHGSTの4Gバイトドライブであることを考えると、むしろ割安な価格といえる。ただ、購入の際はイヤホンとリモコンも合わせて買うことをお勧めしておきたい。

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