抜群の色表現力と印刷速度を誇るPIXUSシリーズのフラグシップモデル――キヤノン PIXUS 9900i(1/3 ページ)

» 2004年04月05日 23時33分 公開
[リアクション,ITmedia]

PIXUSシリーズ初の8色インク搭載機

 強烈なパンチ力を持つプリンタが登場した。キヤノンの「PIXUS 9900i」(以下、9900i)だ。PIXUSシリーズでは最多となる8色インクを備え、A3ノビまでのフチなし印刷に対応した、文字通りのフラグシップ機である。

PIXUSシリーズのフラグシップ機「PIXUS 9900i」

 個人向けのプリンタはA4機が主流で、最も使われている用紙サイズはL版だ。A3やA3ノビ対応の製品は、ハイアマチュアやプロ向けと考える人がほとんどだろう。

 これは一つの認識として間違いではないが、これまでプリンタの購入候補からA3/A3ノビ対応機を最初から除外していた人は、ぜひ一度、店頭で9900iのA3/A3ノビフチなし出力を見てほしい。L版やA4とはまったく次元が異なる迫力とすばらしさに圧倒されることうけ合いだ。そして、A3/A3ノビ出力環境への欲求に駆り立てられることだろう。

 話を戻して、9900iのスペックから整理していこう。印刷ヘッドは、A4対応のハイエンド機「PIXUS 990i」と同等だ。990iは7色インクだが、ヘッドには8色分のスペースがあった。990iの発表時、キヤノンは非公式ながら「将来的な(8色目の)活用も考えている」としていた。これを具現化したのが、9900iだったというわけだ。

 9900iのインク構成は、C/M/Y/BKの基本4色、低濃度のPC(フォトシアン)/PM(フォトマゼンタ)、高彩度のR(レッド)とG(グリーン)の合計8色だ。990iの7色インクと比較して、9900iではGインクが追加された。人間の目は「緑」の認識力がもっとも高いため、緑系の表現力を高めるのは理にかなっている。

インクタンクは各色独立型。G(グリーン)インクの追加により、緑系の色域が大幅に拡大したという

 ノズル数は、インク各色768ノズル、合計6144ノズルと膨大だ。そのおかげで、印刷スピードも抜群に速い(計測結果は後半で紹介する)。インクのドロップ量は、全弾が2ピコリットルだ。

 外観は、990iをそのまま大きくしたようなデザインである。給排紙トレイは本体に折り畳めるが、A3ノビの使用時は、給排紙スペース込みで約1メートルもの奥行きが必要となる。インタフェースはUSB 2.0 Hi-Seed/Full-Speed(USB 1.1相当)、およびMacintosh専用のIEEE1394(FireWire)だ。

外観は、990iによく似たイメージでまとめられている。本体サイズは幅455×奥行き306×高さ183ミリだが、給排紙スペースを含めると約1メートルの奥行きが必要となる。重量は約6.2キロだ
本体背面には、2基のUSB 2.0(Hi-Seed/Full-Speed)とIEEE1394がある。本体前面の電源ボタンの下にはPictBridge用ポートも備えている

 メモリカードスロットは持たないが、デジカメダイレクトプリントでは、業界標準規格の「PictBridge」とキヤノン独自の「Bubble Jet Direct」に対応している。また、フロントローディング方式の専用トレイガイドユニットでCD/DVDのレーベル印刷が可能だ。

CD/DVDレーベル印刷用のトレイガイドユニットが付属する

 プリンタドライバの機能と画面構成や付属のアプリケーション類は、PIXUSシリーズのA4機と同じである。その中では、簡単印刷ツールの「Easy-PhotoPrint Ver.2.1」に注目したい。PIXUSシリーズに共通して付属し、おそらくもっとも使われているツールだ。

 新バージョンでは、キヤノン製デジタル一眼レフカメラの高級機「EOS-1Ds」、「同1D」、「同1D MarkII」に対応したRAW画像処理ソフト「Digital Photo Professional」との連携が図られた。これらのデジタル一眼レフカメラで撮影したAdobe RGBカラースペースの画像を、専用のICCプロファイルを用いて、Windows標準カラースペースのsRGBより広い色域のままで出力できる。ただしこの機能は、対応するカメラからしてプロ向けの内容なので、とくに気にしなくてもかまわない。

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