MSIのキューブ型ベアボーンといえば、「MEGA」。2003年後半のMSIは「MEGA一色」といっていいほど、この製品をプッシュしていた。
その製品バリエーションは多彩で、初代MEGAはPentium 4&SiS 651と統合型チップセットを採用したコストパフォーマンス重視型であったが、ゲームユーザーのためにパフォーマンスを重視したモデルや、CPUにAthlon XPを搭載するMEGA 400などがプライベートイベントなどで公表されていた。
今年の3月になってAMD搭載モデルが相次いで登場。一つは当初からAthlon XP搭載モデルとして紹介されていた「MEGA 400」。オレンジラインのMEGA 651の色違いであるグリーンライン(それぞれPentium 4とAthlon XPのイメージカラー)のAthlon XP&KM400の統合型チップセットで、まさにMEGA 651のAMD版という位置付けになる。
もう一つ登場したAMDプラットフォーム対応MEGAがブラックフロントパネルを採用してデザインを一新させた「MEGA 180」。これまで登場してきたMEGAシリーズの上位バージョンといえるラインアップになる。MSIではこれと対になるインテルバージョンの「MEGA 865」も先週末から日本で販売を開始しており、ようやくインテルベール、AMDベースのMEGAシリーズがハイ&ローで出揃ったことになる。
MEGA 180も統合型チップセット搭載マザーボードを搭載しているが、nForce2を搭載して3Dグラフィックス性能を大幅に向上させている。Athlon XP用チップセットの決定版といわれるnForce2 Ultra400でないため、使用できるメモリはPC2700どまりになるが、それでもデュアルメモリチャネルを使えることに変わりなく、パフォーマンスにはそれほど致命的な影響は与えない。
システムとしてのパフォーマンスがアップしたのに加えて、MEGA 180が大きく変わったのがフロントに設けられたインジケータ。表示する機能は、オーディオ機能の時に動作する、ラジオのチューニングにボリューム、音楽CD、またはMP3を保存したCD-Rを再生しているときのトラックとプレイ時間、と従来機種からそれほど変化はない。
ただ、緑、オレンジ、赤の3色でグラフィカルに表示されるパネルはデザイン的なインパクトはさらに強調されるようになった。
MEGAシリーズは、プレーヤーとしてしての機能とPCとしての機能が盛り込まれているのが特徴で、MEGA 180でもPCを起動せずにプレーヤーとして動作する「Hi-Fi」スイッチと、PCとして起動させるPCスイッチが用意されている。
Hi-Fiスイッチで起動させれば、動作するのは光ディスクドライブにチューナーユニットとオーディオユニットのみ。CPUなどPCパーツは動作しないため、CPUクーラーやチップセットクーラーのファンが回らず、至って静か。起動も早いので、CDやFMなど、音楽を楽しむ分にはこのモードで十分だ。
ベアボーンということで、CPUにハードディスク、メモリに光ディスクドライブなどはユーザーが自分で調達して組み込むことになる。キューブ型であるため、パーツの組み込みに不安を感じるユーザーも多いかもしれない。
だが、MEGAシリーズの筐体は、組み込む順番を間違えなければパーツの組み入れはそれほど難しくない。もっとも、マニュアルにはパーツ組み入れ作業について説明した記述は用意されていない。MSIからすると、ベアボーンを購入するのは、それなりに経験のあるユーザーと考えるのも無理はないところ。
これまでは、たしかにそのとおりだったが、MEGAシリーズのようにデザインを重視したエンターテイメント向けキューブ型PCは、パワーユーザー以外にも十分アピールできる製品だし、MSIもそのようなユーザーをターゲットにMEGAシリーズを投入したはずだ。ステップ式のパーツ組み込みマニュアルも同梱すれば、今まで以上に幅広いユーザーに抵抗なく購入してもらえるだろう。
組み込みの順番は、CPUをソケットに差し込み、ついで3.5インチドライブベイへの取り付け。それから同梱されているCPUクーラーを筐体横から差し込んで固定。最後に5インチベイデバイスとメモリモジュールを組み込めば、問題なく組み立てられる。
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