ワコムのドライバの配布によって、タブレットPC上でもPhotoshop CSなどが筆圧感知に対応するようになった。実際の使い勝手はどのようなものだろうか? まずはAdobe Photoshop CS とAdobe GoLive CSを使った、Webグラフィックでの活用をチェックする。
ワコムは、同社のペン技術を利用しているタブレットPC向けに、「拡張タブレットドライバ for Penabled Tablet PC」をリリースして無料配布を開始した。このドライバは、タブレットPC上でAdobe Photoshopなど、筆圧感知対応のグラフィックアプリケーションを活用できるようにするためのものである。今回はその手始めとして、Adobe Photoshop CS とAdobe GoLive CSを使った、Webグラフィックでの活用をチェックしてみよう。
ちなみに今回試用したマシンは、東芝のdynabook SS M200だ。12.1インチの液晶パネルは1400×1050ピクセルSXGA+の解像度で、今現在日本で手に入るタブレットPCとしては最高の解像度を誇るマシンだ。さらにCPUがPentium Mの1.4GHz、グラフィックチップにはGeForce FX Go5200を採用し、Photoshop CSのようなヘビーなアプリケーションも、ストレスなく動作させることができる。
まずはドライバのインストールだが、これは指示に従って行えばあっという間に終了する。インストールされたドライバはコントロールパネルから「Wacom Pen Setting」を開いて設定する。
設定は「ペン」本体と「タブレット」の2つ。「タブレット」のセッティングはペン先と画面の位置調整だけなので、指示に従いタップしてゆくだけでOK。
「ペン」の方は消しゴムの感触やペン先の感触、ダブルクリック距離の設定などがあるが、最初は標準状態にセットしておき、使いながら自分の好みに合わせて調整してゆけばいだろう。このタブレットの感触は、目に見えるような数値化が難しく、しかも個人差があるので、これがベストだ! というセッティングは自分で見つけるしかないのだ。
なお、ペンのサイドスイッチには様々な機能を割り当てる事ができるが、基本的には「タブレットPCの設定に従う」にしておけば無難。こちらは同じくコントロールパネルの「タブレットとペンの設定」の設定のままでいいだろう。
さて、タブレットPCでWebグラフィックのアプリケーションを使う時のメリットといえば、これはグラフィックアプリケーション全般に言えることなのだが、操作する場所と画面が一致するということ。これは何物にも替えがたいメリットである。
自分の指先で操作するペンの先が、そのまま画面に反映するダイレクト感は、タブレットPCならでは。デジタル画材はすべからくアナログ画材に近づくように努力しているが、タブレットPCはそれをさらに押し進めるデバイスなのである。
さて、Photoshop CSは言うまでも無くフォトレタッチがそのメインのお仕事。Web用の素材を作る時などの写真の切り抜きには欠かせないツールだ。その写真の切り抜きの場合、マウスや一般のペンタブレットと違い、タブレットPCであれば「なげなわツール」で作業しても、結構精度の高い切り抜きが可能になる。
試してみると解るが、指先と作業場所が一致しているから、作業する場合でもそれほどのスキルは必要としない。基本的には切り抜きたいラインをなぞるだけなのだ。
また、タブレットPC本体を手で抱えて作業できるため、作業中の姿勢がかなり自由に取れるというのもメリットのひとつ。多くの人は作業している時に画面と正対しているわけではない。紙に描く時でもそうだが右上がりとか左上がりとかクセがある。しかしTabletPCであれば、そういう点に神経を使う必要もなく、かなり気楽に操作できる。机に置いて使うもヨシ、ソファーにふんぞりかえって作業するもヨシなのである。しかも、現在あるタブレットPCは全て無線LANを内蔵しているから、どこでも使えるというポジションニングの自由度はノートPCの比ではない。
ちなみに仕事上、時々「手書き風の文字が欲しい」というケースもあるかもしれないが、タブレットPCなら「手書き風」ではなく、描けば「手書きそのもの」になるわけだから、看板などの味わいのある面白いグラフィックの作成にも威力を発揮するはずだ。
さて、肝心の筆圧関知についてチェックしておこう。
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