Photoshopのエンジンを使い、フォトレタッチやペインティングを初心者でも手軽に体験でき、仕上りはプロフェッショナルユースにも耐えられる。そんな「Photoshop Elements 2.0」をタブレットPCで試してみようと言うのが今回のレビュー。お絵描きや写真の加工の楽しみが、かなりアップします、マジで。
辞書で「Element(エレメント)」という言葉をひくと「要素・成分・素子」等という意味の言葉が並んでいる。これ以上分けることのできない最小の大きさ、というニュアンスが含まれており、転じて「初歩・入門」という意味に使われる。初等学校を「elementary school」と呼んでいますわね。
と言うことでこの「Photoshop Elements」は、プロフェッショナルなツールである「Photoshop」の「Elements」、すなわち入門用と考えればいいのだけれど、ベースとなっている「Photoshop」が超スゴイため、実際「Photoshop Elements」も使ってみると、単なる入門用というレベルを超えた実力を持っていることを実感できるのだ。
まずはペイントソフトならではの「お絵描き」から述べてみよう。
単に「絵を描く」という目的のためだけならば、同価格帯に「Painter Essentials」という、非常にデキのイイアプリケーションが存在するが、実はこの「Elements」も、お絵描きに関して思った以上ににデキるヤツだったりする。
それは単にブラシの数だけ見ても、12ジャンルの中にそれぞれ5種類から数10種類まで、合計200近くのブラシが揃い、それぞれ太さなどをコントロールすることで、事実上無限の種類のブラシを使うことが可能である、という点からも伺い知れる。
そのブラシの中には犬の足跡とか音符、スマイルマークなど、何に使うのか解らないけれど茶目っ気たっぷりのブラシなども揃い、それらが強く描けば濃く太く、弱く描けば薄く細く、筆圧に関知して描くことができるわけだからナカナカ楽しい。
そしてやっぱりタブレットPCならではのダイレクトな描き味が、お絵描き気分を盛り上げてくれる。多くの人はおそらく、本当に今、パソコンで絵を描いているんだ(って、本当に描いているんだけどね)という達成感を、自分の手で直接感じることができるはずだ。もちろんマウスとは比較にもならない。
Elements の本分は兄貴分同様「フォトレタッチ」。すなわちデジタル写真の加工や整理などがその主な仕事となるのだが、写真を実際に操作してどうなのか? 実はココがElementsとタブレットPCのベストパフォーマンスと言っていいかもしれない楽しさと実力を発揮できる点ではないかと思う。
一例として、印象派ブラシをつかった「ゲージツ」を見て頂こう。
まず、ファイルブラウザと言う、兄貴分のPhotoshopにも採用された強力なファイル管理機能を使って好みの写真を読み込んで来る。サムネイルを見ながらファイルを選べるこの機能は、タブレットPCで使うとまるで紙焼きの写真のアルバムをめくっているような感覚に近いものを感じる。
そうして読み込んできた写真に対して「印象派ブラシツール」を使って、写真を自分の意思で「描く」様にしてペンを動かして行く。するとしばらく経つうちに、いつの間にか写真がまるで油絵のようになってゆく。
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