きょうは「今年の暑い夏は3000円マザーで乗り切ろう」と決意した(2/2 ページ)

» 2004年07月16日 12時44分 公開
[河野寿,ITmedia]
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 まず、オーバークロックにチャレンジ。Mobile系CPUはとくに改造などをしなくても倍率の変更ができるようなので、ジャンパピンで×9、×9.5…と徐々にアップしてみた。×10.5までは問題なくオーバークロックできたが、×11にするとBIOSが起動しなくなった。この辺は個体差もあるのでもう少しいける場合もあるかもしれないが、×10あたりまでは安全圏といえるのではなかろうか。

 しかし、クロックアップに成功したとはいえ1GHz程度では高性能とは言えない。1万円も出せばAthlon XP 2400+が載るわけだから、まじめに速度を追求するならこちらが確実だろう。

 そこで、次に省エネに焦点を当ててみた。

 まずは各クロックでのシステム全体の消費電力を計ってみる。測定は簡易な電力系である計測技研の「ワットチェッカー」を使用した。

各クロックにおける消費電力の数値

 消費電力はアイドリング時と高負荷をかけた場合について測定した。負荷をかけたときの値はPCMark2002ProでCPUテストを行っている最中のものである。

 1GHzにオーバークロックするとアイドル時でも消費電力は66ワットになってしまう。これは、800MHzでCPUテストをしているときの消費電力よりも高い。一方で、CPUテストのスコアは500MHzで1446であったのに対し、1GMHzでは2641と倍近い値となった。高性能を求めれば消費電力も上がるのは自明であるが……悩むところではある。

 ところで、このMobile Duron 800MHzはMorganコアと表示されて売っていたので、それを信じるのであれば、クロックや電圧を負荷に応じて変更する、いわゆる「PowerNow!」という機能が搭載されているはずである。

 だが、クロックをAUTOにしてみたり、倍率をジャンパで変えてみたりしていろいろ調べてみたが、どうもPowerNow!が動いている様子はない。さらに情報を集めてみると、どうやらデスクトップ用のマザーボードでPowerNow!に対応したBIOSを搭載している例はほとんどないようだ。

 しかし、その代わりになるようなソフトウェアがネット上に存在した。Crystal CPUIDというソフトウェアである。これを起動させておくと、Mobile Duron/Athlonでソフトウェアだけで倍率変更が可能になる。さらに、負荷に応じて設定したクロックに変更する「Multiplier Management」という機能まで付いている優れものだ。

Crystal CPU IDのメイン画面。ここでPowerNow!/Cool'n'Quietが有効になっていると「Multiplier Management」が使える

 このソフトを使って、クロック数を300MHz(アイドル時)、600MHz(通常時)、800MHz(高負荷時)という設定にしてみた。ディップスイッチでもできないような低い倍率可能なのがすごい(ただし、オーバークロックの設定はうまく作動しなかった)。

 また、設定をショートカットとして出力する機能があるので、これをスタートアップフォルダの中に入れておけば起動時にMultiplier Managementが動作するようにもできる。

Multiplier Managementの倍率変更画面

 Multiplier Managementが稼働した状態で消費電力を測ってみると、アイドル時にはなんと47ワットになった。これは500MHzでのアイドル時よりも低い。300MHzへの低速化が効いているようだ。

 次に、アイドル状態からベンチマークソフトを走らせると、消費電力は69ワットに上がった。これは先の800MHzに固定したときの消費電力とほぼ同じである。どうやら予定通り800MHzにクロックが上昇しているようだ。ベンチマークの結果もCPU=2125なので、ほぼ800MHzの数値に近い値が出ている(クロックを変化させる部分で若干のパフォーマンスロスがあるのは致し方ない)。

アイドル状態では300MHzにクロックが落ちる

 Crystal CPU IDのMultiplier Management機能が楽しくなったので、もう一度アキバに行き、Mobile Athlon XP 1400+(実クロック1.2GHz)を買ってきた。いわゆる「Thoroughbredコア」のモバイルCPUだ。

 起動時には同じように「Mobile Athlon 500MHz」と妙な判定がなされるが、もう慣れたので気にしない。そのままベンチマークへ突入してみた。Multiplier Managementの設定は300MHz、1GHz、1,2GHzという3段階だ。

Multiplier Managementではこのようにユーザーが事前に設定したクロックを何パターンか登録できる。楽しい

 すると、なんとアイドル時には45ワットとMobile Duron/800MHzよりも低い数値となった。負荷をかけるとさすがに78ワットとなってしまったが、ベンチマークの数値もCPU=3308とさすがにそれなりに速い。

 ただ、このCPUは新品ということもあって、4500円程度で売られている。高くはないのだが、マザーボードの価格からすると少し悩むところではある。

 Multiplier ManagementとモバイルDuron/Athlonの組み合わせは、デスクトップPCでも消費電力を抑えつつ、パフォーマンスもあまり犠牲にしなくて済むという点で非常に面白い。

 原油の高騰が示すように、不安定な中東・南米・アフリカ情勢や中国の急成長によってしばらくはエネルギーの逼迫が続くとも予想される昨今である。むやみに熱を出すようなPCは、たとえデスクトップであろうとも、あまり歓迎されなくなるのではないだろうか、と珍しく社会派的なコメントでまとめてみたりする。

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