アナログテイストいっぱいのミニチュアデジカメ――ローライフレックス ミニデジ(3/4 ページ)

» 2004年07月20日 08時00分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

デジカメとしてのミニデジ

 RolleiFlexのミニチュアとしては非常によくできてるミニデジだが、デジカメとして観ると、もう笑っちゃうほどシンプル。トイカメラの一種といっていいほどで、画質や機能だけをみれば、同等価格(つまり3万円程度)のちゃんとしたデジカメに比べてかなり劣る。

 まず撮像素子は200万画素のCMOSセンサー。200万画素相当だが、実際には正方形フォーマットなので1200×1200ピクセルと、画像サイズは200万画素に劣る。さらに1760×1760ピクセルの画像補完を使った高解像度モードもあるが、無理に画像サイズを上げる必要はないだろう。

 その前のレンズはF2.8で焦点距離は9ミリ。やや望遠気味で、単焦点。しかも固定焦点式なのでピントは固定。カタログでは70センチ〜∞となっているが、最低でも1.5メートルは離れないとピンボケになる感じだ。できれば、2メートル以上離れた被写体を撮りたい。マクロモードもない。室内ではなく、屋外へ持ち出して見せびらかしながら、街の風景や人物を撮るのに向いている感じだ。

 撮影は完全にフルオート。露出補正もなければホワイトバランスもオートのみ。ストロボも内蔵されていない。かろうじてフリッカー軽減のために50Hz地域か60Hz地域かをセットする機能があるだけ(蛍光灯下での撮影でこれが重要になる)。もちろん夜景モードなんてのもないし、デジタルズームもない。本当に、構えてシャッターを切るだけなのだ。

 液晶モニタの質もよくないので、晴天下では構図確認も難しかったりする。

 すごいのは、いまどき内蔵時計も持っていないこと。だから画像にも撮影日時が記録されない。

 撮影した画像はといえば、CMOSセンサーで固定焦点なので推して知るべし。逆光では破綻しちゃうし、屋内でのホワイトバランスもけっこうアバウト。コントラストはあまりないし、もちろんディテールの描写力も高くない。高画質なカメラ付ケータイにも劣るかもしれない。

 でも、最近のかっちりと作られたデジカメにはない、テイストのあるアバウトな写真が撮れるから不思議だ。ちょっとわざとらしくぺたっとぬったような色の鮮やかさや、妙にぬるい感じのコントラストのなさが味なのだ。

 最近、一部でHOLGAやLOMOといった銀塩のトイカメラ(プラスチック製で固定焦点のロシアや中国製の安いカメラ)が、その写りとともに人気を博しているが、それに似たテイストのアバウトな写りなのである。HOLGAやLOMOといったカメラで撮った時の、妙にアナクロで画質は悪いんだけれども独特の雰囲気があって捨てがたいというテイストと同じテイストを、ミニデジで撮った写真にも感じるのだ。

 デジカメでアナクロなテイストというのも不思議な感じだが、そういうちゃんとしたデジカメでは撮れない独特の味がミニデジの面白さのひとつといっていい。

アナクロな写真を撮れるミニチュアという不思議な魅力

 まとめよう。つまるところ、3万円ちょっとという価格はミニチュアとしての完成度に表れている。あくまでもデジカメである以前に、Rolleiflexのミニチュアなのだ。ミニチュアとしてよくできているが故に、持ち歩く気にもなるし、1枚ずつクランクレバーを回さないと撮れないというギミックもより楽しめる。

 逆にデジカメとしての写りに期待してはいけない。あくまでもカメラ機能はサブ。実用的なデジカメを求めている人はこれは買わない方がよい。

 でも、このミニチュアなスタイルに似合う、独特のアナクロなテイストのデジタル写真が撮れる。この写り具合(時には写り不具合)も含めて魅力を感じるなら、是非とも買って楽しむべき。セカンドデジカメとして、あるいは普段使うデジカメとは別の趣味の1台として町歩きの共に持ち歩き、街の風景や人物や看板や空や目に付いたものを気軽に撮るのもまた楽しいはずだ。個人的にはすごく気に入っている。ちょっと高いかな、とは思うけど。

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