「これからはインクジェット複合機のシェアが増加する」。これはインクジェット系プリンタを作っているメーカー各社の、どの発表会に行っても聞かれる言葉だ。各社はプリンタやスキャナといった機能を向上させるだけでなく、低価格路線であったり、付加機能を追加して勝負してくる。
ブラザー工業の「MyMio」(マイミーオ)シリーズは、2003年の1月に発表されたブランド。プリンタ、スキャナ、カラーコピーという複合機デフォルトの機能だけでなく、FAXやコードレス子機まで備えているのが特徴だ。
こうした製品の場合、1年サイクルで新しい商品をリリースするのが普通の流れであるが、「新しい機能を導入するのに時間がかかったため、この時期でのリリースとなった」(同社)とのこと。その答えとして提示されているのが、「下給紙方式」であり、「メモリカードスロット搭載」や「ネットワーク対応」でもある。
同社の調べでは、「複合機」に対する印象について、多機能で使いやすそうだが「サイズが大きくて設置場所に困る」というものが多かったという。このため同社は下給紙方式を採用し、背面をコンパクトにするとともに、高さも前モデルとほぼ変わらないサイズを意識して新モデルを作成したとのこと。
このコンパクトさを武器にするとともに、もはや当たり前となったメモリカードスロットを内蔵しただけでなく、ネットワークにも対応し、機能の豊富さをアピールしていくことになる。
また、SOHO市場はもちろんだろうが、一般家庭でも「プリンタとFAXを共用したい」というニーズはかなりあるはずだ。実際に「MyMio MFC-100」のユーザーは、3割がオフィス兼用の自宅であるほか、一般家庭は4割を占めるなど、SOHO向けのニーズ以外にも、一般コンシューマーに受け入れられていることが分かる。
現在、FAXも可能なインクジェット複合機は、キヤノンの「PIXUS MP740」「同MP390」のほか、日本ヒューレット・パッカードの「HP Officejet 6150 」「同5510」「HP PSC 2550 Photosmart」「同2450 Photosmart」、レックスマークの「X6170」といったところが挙げられる。
これらの機種は、たいていの場合プリンタ売り場に置かれることになる。ただしブラザー工業の強みは、FAX売り場の実績もあることだろう。多機能な上位機種をFAX売り場でアピールし、低価格で必要十分な機能を持つ複合機をプリンタ売り場で販売して、シェアの拡大を狙うのがブラザーの戦略だ。
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