「かのぷーの最新キャプチャーカード」でデジタル放送録画に挑戦今年の夏は「PCで全部録る!」ことにした──第4話(1/2 ページ)

» 2004年08月10日 08時00分 公開
[寺崎基生,ITmedia]

コピーワンス録画に初めて正式対応したキャプチャーカード

 発売されたばかりのMTVX2004HFは、カノープスの従来モデルMTVX2004の上位モデルとなる製品。MTVX2004との最も大きな違いは「外部入力インタフェースにコンポーネント入力を採用」と「BSデジタルや地上波デジタルのコピーワンスコンテンツ録画を正式にサポート」に尽きるだろう。

きょうの主役はカノープスの「MTVX2004HF」

 これまでのキャプチャーカードは、コピーワンス情報の付加されたコンテンツを正式にサポートしていなかった。なお、MTVX2004HFはBSデジタルや地上波デジタルの録画に対応しているが、搭載しているチューナーユニットは地上波アナログ放送のみ対応ので間違えないようにしたい。

 コピーワンスコンテンツは、MTVX2004HFに搭載されたコンポーネント入力、もしくはSビデオ入力においで判別され記録される。カード搭載チューナーはアナログのみ対応なので、外部入力にデジタルチューナーを接続する必要があるわけだ。また、コンポーネント入力もSビデオも信号としてはアナログデータであるため、記録される入力データのエンコード処理も結局のところアナログデータと同様に扱われるようになる。

 簡単にまとめておくと、コピーワンス放送というのは、著作権保護技術の一種である「CGMS-A情報」が受信データに含まれる放送のことを言う。コピーワンスのコンテンツは、一度だけのコピー、つまり1回だけ録画が可能であり、一度録画したコンテンツを別の記録媒体にコピーすることができない仕組みが組み込まれている。PCキャプチャーでは、ほとんどの場合、最初の録画がHDDに行われるため、あとから録画データをDVDなどに書き込むことはできないし、編集などを行うためにファイルを二重化することも許されないことになる。

 ただし、家庭用のDVD/HDDレコーダーなどでは、HDDからDVDへの“移動”が認められている製品もある。この場合、DVDへ書き込まれるときにHDDのデータは消去されてしまう。

 MTVX2004HFで録画されたコピーワンスコンテンツは、従来のPCキャプチャーにおける動画ファイルと扱いが違ってくる。コピーワンスコンテンツでない動画の場合は、拡張子が“m2p”となるのに対し、コピーワンスコンテンツの録画データに対しては拡張子“m2d”が付加される。このm2dファイルは、録画に使用されたキャプチャーカードが装着されたPCにインストールされている「FEATHER2004D」だけで再生可能だ。

 そのため、Windows Media Playerなどの汎用プレーヤーでは動画ファイルと認識されず再生できない。m2dファイルには、カノープス独自のスクランブルがかけられており、AviutlやTMPGEncなどの動画編集ソフトでも読み込み不可。従来の動画ファイルのように、編集したりDVDへオーサリングできないのは残念であるが、現時点においてCGMS-Aに正式対応するためには、これらの制限は必要な処置だいわざるを得ない。

通常の地上波アナログ番組は拡張子「m2p」となるが、コピーワンス信号の含まれる放送の場合には拡張子「m2d」となり、コピー保護される
コピーワンスコンテンツを、ソフトウェア圧縮モードで録画しようとすると、著作権保護のために録画停止となる

3DY/C分離と3DNRが同時利用可の「W3Dモード」

 ハードウェアエンコード方式キャプチャーカードの基幹パーツとなるエンコードチップは、従来のMTVX2004と同じ、Philips製「SAA6752HS」を搭載している。MTVX2004では、3DY/C分離と3DNRが排他利用となっていたが、MTVX2004HFでは両者を同時に使用できる「W3Dモード」をサポート。これはMTV3000/MTV2000 Plus以来となるもので、MTVX2004HFがハイエンドモデルであることを如実に表しているスペックとも言えるだろう。

 ゴーストリデューサはポピュラーなNEC製「μPD64031A」を搭載。ビデオデコードと3DY/C分離機能およびTBC機能は、松下製「MN673747」チップセットで実現している。

 MTVX2004から変更された新型チューナーは「スプリットキャリアチューナー」というもので、映像と音声を別々に処理できるため、映像から音声へ与える影響を抑え、高音質な音声信号が得られるようになっている。

肝心かなめのエンコードチップ「SAA6752HS」
カノープスのハイグレードモデルが搭載してきた、3DY/C分離と3DNRの同時使用ができるW3Dモードを持つ

2系統の外部入力が使えて、外部機器連動機能も搭載

 ユーザーの使い勝手に関わる部分で、大きく機能を向上させた部分といえば、2系統に増えた外部入力だろう。「CATVとBSデジタル」というように、外部入力機器を複数接続したいと思っているユーザーは少なくないはずだ。

 「外部入力1」は、コンポーネント入力に対応している。実際に使ってみると、画質がSビデオ入力から劇的に変化したとはいえないが、クオリティの高いケーブルを接続でき、ケーブル長も長くできるなど、画質以外の部分でもユーザーにとってプラスに作用している。

 コンポーネント入力の場合、同梱されているケーブルを使ってS端子と共通のプラグへ変換される。Sビデオのプラグよりもピン数は多いが、Sビデオと同じコネクタに接続できる。

 外部入力に関しては、外部機器の映像出力に連動して、録画の開始と停止が行える機能がサポートされている。CATVやBS/地上波デジタルチューナーなどで番組予約をしておくだけで、PC側の予約をしなくても予約録画ができる機能だ。最近のDVD/HDDレコーダーなどにも搭載されている機能である。

映像と音声をそれぞれ2系統、そしてアンテナ入力と音声ケーブルの接続を行うと、1枚差しにもかかわらず、PCの背面はかなりゴチャゴチャしたことになってしまう
2系統の外部映像機器を接続して、切り替えて使えるのはとても便利だ

コンポーネント入力の実力は?

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