常に画面がスクロールしているマラソンや自転車競技では、ビットレートのほとんどが背景に割り振られてしまうため、ほかのスポーツよりも高めのビットレートが求められる。
これらの競技もまだ始まっていないため、ツール・ド・フランスを録画したときの経験から推測すると、最低でも8Mbps程度のビットレートは確保したいところだ。
柔道やレスリングのような、狭い競技場で速い動きのある競技では、ビットレートのほとんどが選手の動きに割り当てられるため、比較的低ビットレートであっても画質の破綻は起こりにくい。スポーツ録画全般にいえることだが、それまでじっとしていたのに、いきなり激しく動くような場面があるため、HDD容量を無駄なく使いたいならば、可変ビットレートに設定しておくのが基本となる。
水泳もマラソンなどと同様に、画面が常にスクロールするため、高いビットレートを必要とする。加えて水しぶきなどに情報量を必要とするため、より高いビットレートで録りたいところだ。
また、競泳ほどの画面スクロールはないが、美しさが命であるシンクロナイズドスイミングにも高ビットレートを与えたい。というわけで、お勧めビットレートは、競泳、シンクロともに10Mbps以上としておこう。
陸上は競技によっていろいろ変えていく必要がある。大きく分けるとトラック競技とフィールド競技となるわけだが、100メートルや400メートルハードルなどのトラック競技では、マラソンと同様8Mbps程度は欲しいところだ。
競技自体が短いため、ポイントを絞ってカット編集するという前提なら、10〜15Mbpsで録るというのも悪くない選択だ。
一方で、ハンマー投げを初めとするフィールド競技は、それほど高いビットレートは必要としないだろう。跳躍競技などではスローモーションによるプレイバックもあるため、決定的なシーンが破綻してしまうようなこともないはずだ。4〜6Mbps程度で良いだろう。
どの競技をとってもかなりのスピードがあるため、ある程度高いビットレートを割り振っておきたい。とくに床や新体操、トランポリンなど、激しい動きのある競技が多いので、8Mbps程度で録っておこう。
バレーボールやバスケットボールも、サッカーや野球などと同様に試合時間が長いため、できるだけビットレートを下げたいところだ。4Mbpsなら2時間半の試合時間となったとしても、DVD1枚に収めることができる。「マイフェバリットコレクション」を作るつもりなら4〜5Mbpsがお勧めだ。
競技種目 | お勧めビットレート |
サッカー | 6Mbps |
野球/ソフトボール | 4〜6Mbps |
マラソン/自転車競技 | 8〜10Mbps |
柔道/レスリング | 4Mbps |
水泳 | 10Mbps |
陸上(トラック競技) | 8〜10Mbps |
陸上(フィールド競技) | 4〜6Mbps |
体操 | 8Mbps |
バスケット/バレーボール | 4〜5Mbps |
録画されたファイルのサイズは、ビットレートが高くなるほど大きくなる。保存ファイルのサイズは、固定ビットレートなら計算で求めることが可能だ。音声を含めたファイルサイズを簡単に表にまとめてみた。
ビットレート | 30分 | 1時間 | 2時間 |
1Mbps | 275Mバイト | 550Mバイト | 1.1Gバイト |
2Mbps | 450Mバイト | 1Gバイト | 2Gバイト |
4Mbps | 950Mバイト | 1.9Gバイト | 3.8Gバイト |
6Mbps | 1.4Gバイト | 2.8Gバイト | 5.6Gバイト |
8Mbps | 1.9Gバイト | 3.7Gバイト | 7.4Gバイト |
9Mbps | 2Gバイト | 4Gバイト | 8Gバイト |
10Mbps | 2.3Gバイト | 4.6Gバイト | 9.2Gバイト |
15Mbps | 3.5Gバイト | 6.9Gバイト | 13.7Gバイト |
25Mbps | 5.7Gバイト | 11.3Gバイト | 22.6Gバイト |
スポーツ録画の場合には可変ビットレートが基本、と説明したが、可変ビットレートの場合は保存ファイルのサイズを計算で求めることはできない。同じビットレート設定でも、動きの激しい映像の場合にはファイルサイズが大きくなり、あまり動きのない映像の場合にはファイルサイズは小さくなる。可変ビットレート設定では、指定するビットレートが平均値であり、最高ビットレートが別に指定できる場合もある。その場合にも設定によってやはりサイズが変わってくる。
この場合の、大まかな計算としては、平均ビットレートの1.5倍程度を最高ビットレートにしたと仮定して、その保存ファイルのサイズは、平均ビットレートの値を固定ビットレートで計算した値の、1.0〜1.2倍程度になることが多いようだ。たとえば、平均ビットレートを6Mbps、最高ビットレートを9Mbpsに設定した場合、1時間のファイルサイズは2.8Gバイトから3.2Gバイト程度になると考えておくといい。もちろん、動きの激しい映像の場合にはもっと大きくなることもあるので、その分「上昇変更」を加味しておく必要があるだろう。
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