ノートPCを裏番組録画用マシンに――バッファロー「PC-SMP2E/CB」を試すキャプチャーカード(1/2 ページ)

» 2004年08月17日 08時00分 公開
[岩城俊介,ITmedia]

 夏の特集「今年の夏は PCで全部録る! ことにした」がおかげ様で好評、PCでもコピーワンス放送の録画が可能な「MTVX2004HF」をはじめ、カード複数差しによる“W録”ができる「EX-VISION 1500TV」「GV-MVP/RX」「PC-MV5DX/PCI」など、PCでも家庭用HDD/DVDレコーダーと遜色ない、場合によっては勝る部分もあるTV録画環境を構築することができる。

 しかし「俺はノートPCユーザーだ」という人も多いことだろう。

 筆者はTV録画用のデスクトップPCを用意してはいるが、普段使用するのはノートPCである。かつこの季節は、地上波ではアテネ放送、スカパー!などで終戦にあわせた戦争映画や軍事ドキュメンタリー番組(軍オタなもので……)やドラマの一挙再放送などがある。EPGサイトでチェックすると、どうしても録画したい番組の時間帯が重なってしまうのである。

 とはいえ、現在使用しているキャプチャーカードは複数枚差しによる同時録画に対応していない製品。この夏のためだけに、新たにキャプチャーカードを複数枚購入できるほど給料をもらっているわけではない。ならばW録対応の家庭用DVDレコーダーを……というのは、金額についてはもちろん、この夏、PCUPdate編集部における禁句となっている。

 というわけでノートPCを、“W録”(正確には違うが)のためのもう1台の録画マシンとするということで、やや強引に解決することとした。登場するのは、ノートPCのためのPCカードタイプキャプチャーカード、バッファロー「PC-SMP2E/CB」である。

アンテナとRCA端子用ケーブルは取り外し式

 PC-SMP2E/CBは、CardBus(用語参照)対応、MPEG-2のほかWMV、AVI録画もできるPCカードタイプのキャプチャーカードである。標準価格は1万600円、ITmedia Shoppingでの最安値では、8300円前後より(2004年8月中旬現在)で購入できる。

photo バッファロー「PC-SMP2E/CB」

 PC-SMP2E/CB本体には、ピンタイプのアンテナ入力とRCA映像/音声複合入力、S-Video入力端子、3種類のインタフェースが搭載される。アンテナとRCAケーブルは、ピン−RF同軸75Ω変換、ピン−RCA映像/音声端子変換コネクタケーブルにより接続する方式となっている。

 そのため、PCカードスロットからはみ出る部分は、“もこっ”と膨らんでいる格好で、S-Video端子の直径プラスα分の厚みがある。

photo “もこっ”と膨らんでいる、インタフェース部分

 同じくPCカードタイプのキャプチャーカード、エスケイネット「MonsterTV Pocket」(レビュー参照)の場合は、アンテナ入力端子はカード本体から端子付きケーブルが直付けに、S-Video/RCA端子は専用の複合端子で接続するタイプであった。端子類を接続する手間を考えると、どちらかというとMonsterTV Pocketの方が利便性が高い。

 ただし、上記MonsterTV Pocketのレビュー時にも述べたが、このタイプの製品は、視聴時・録画時ともにかなりの熱を発する。この膨らんだ部分には、いくつもの穴があけられていることからも、放熱対策のためなのだろうとポジティブに考えることにした。

MPEG-1/2、WMV、外部コーデックによるリアルタイム録画に対応

 TV視聴・録画のためのソフトは「PCastTV Ver1.4 HomeNet Edition」が用意される。HomeNet Editionということで、LAN内の別PCにて録画した番組を共有できる機能もサポートされている。

photo PCastTV Ver1.4 HomeNet Editionの操作インタフェース

 ところで、同社のPC-MV5DX/PCI(レビュー参照)など、PCIカードタイプのキャプチャーカードでPCast TVを使用する場合には、チャンネル切り替え時などのレスポンスのよさが評価されている。ただし、PC-SMP2E/CBの場合は、まったく同じ環境のPCにて試用した、同じPCカードタイプのMonsterTV Pocketと比べても若干のもたつきが感じられる。

 もちろんもたつきがあるといっても、0.5秒程度でチャネルは切り替わる。マウスホイールによりチャネル切り替えができ、TV操作のための各種ショートカットキーも適度に設定されているため、操作していていらいらするほどではない。

 録画形式は、MPEG-1/2、WMV、AVI(無圧縮あるいは外部コーデックを使用)が選べる。

 まずは基本のMPEG録画だ。デフォルト品質メニューとして640×480ドット、6.25Mbps CBRの「最高品質」、320×240ドット、3.125Mbps CBRの「高品質」、320×240ドット、2.343Mbps CBRの「普通」が用意される。

 また、解像度720×480〜160×120ドット、15M〜192Kbpsの映像ビットレート、384K〜64Kbpsの音声ビットレートのほか、3段階のインタレース解除設定、5段階の映像処理設定、8段階のCPU処理速度設定など、高画質化機能について細かく設定できるカスタマイズプロファイルの作成が行える。

photo MPEG-2録画詳細設定メニュー

 ビットレート調整メニューでは、固定(CBR)/可変(VBR)のほか、画質を一定品質で保ちつつビットレートを自動的に調整する「固定品質(CQ)」の選択ができる。可変ビットレートとの違いは、ビットレートの上限、下限、基準値の設定を細かくすることなく、スライダーで高圧縮か高品質かを指定するだけの、より簡単で自動的にVBR設定が行えるメニューのようだ。

photo 固定品質(CQ)設定メニュー。スライダーにより高圧縮/高画質どちらを優先するかを選択できる。ビットレート範囲をどの程度にすればいいのかという判断がやや難しい可変ビットレート設定を、簡単に自動設定してくれる

画質を落とさず、CPU稼働率を軽減するという「新動き予測アルゴリズム」を採用

 PC-SMP2E/CBには、CPU稼働率を軽減しながら高画質さを保ち、コマ落ちを抑える「新動き予測アルゴリズム」が採用された。なるほど、視聴時のCPU稼働率は10%程度、デフォルト録画メニュー「普通」時のMPEG-2録画では25〜30%程度、640×480ドット/6Mbpsの「最高品質」で40%程度とCPU稼働率がそれほど高くはならないのは、マシンパワーが劣る傾向にあるノートPCには好都合だ。

photo 「インタレース解除」設定なし視聴時のCPU稼働率(左上)、スポーツ中継など、動きの激しい場面の視聴に向くインタレース解除/フィールド多重化設定を行った視聴時(右上)、デフォルト録画メニュー「普通」設定のMPEG-2録画時(左下)、「最高品質」設定のMPEG-2録画時(右下)
・テスト環境
日本IBM「ThinkPad X40」
CPU: 低電圧版Pentium M/1.30GHz
メモリ:512Mバイト(PC2100 DDR SDRAM)
マザーボード:Intel 855GMEチップセット搭載
HDD:1.8インチ 40Gバイト(4200rpm)
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