薄くて小さなボディに手ブレ補正あり、の最強コンパクトデジカメ――松下 LUMIX DMC-FX7(2/3 ページ)

» 2004年08月23日 08時00分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

画質は500万画素コンパクトとしては十分きれい

 その手ブレ補正付レンズと組み合わされたCCDは1/2.5インチの500万画素とかなり小さくて高画素なタイプ。ISO感度は80から400となっている。

 CCDは小さいが、新型画像処理LSI「ヴィーナスエンジンII」のおかげか画質はなかなかいい。資料によると、輝度レベルに応じたノイズリダクションによって、特に暗部ノイズを大幅に低減した、色補正の軸を12色にすることで色の再現性を向上したなど、5つの画質向上が果たされているという。

 実際、ディテールの描写力はコンパクト機としてはかなりシャープでしっかり写っているし、確かに暗部のノイズも目立たない。画質面ではかなりよくなっている。

 自動露出は評価測光のみだが、ややオーバー目になることがあった。露出補正が必要なこともあるだろう。ダイナミックレンジはそれほど広くないので露出には気をつけたい。リアルタイムヒストグラム表示を活用してもいいだろう。

 AFはなかなか速くて正確で、9点や3点測距の場合、どのポイントでピントを合わせたかを図示してくれるのは便利。近距離の被写体に積極的に合わせようとするのか、構図中央部のメイン被写体より、手前の被写体にピントが合うケースがあるからだ。

 発色もリアルだが、個人的にはもうちょっと記憶色重視の補正をかけた方が好みかも。色は鮮やかだがこってり系ではなくあっさり系だ。またオートホワイトバランスは強力で、赤みがかった照明の室内でも合わせようとしてくる。その辺は好みもかかわってくるのでなんともいえない。

 なおコンパクト機ながらカスタムホワイトバランス機能も持っており、その場で白いものを使ってホワイトバランスをセットできる点や、ホワイトバランスの微調整ができる(約150K単位)など色関係の機能が充実しているのはうれしいところだ。

2.5インチサイズの液晶モニタは圧巻

 電源はメカニカルなスライドスイッチがLUMIXシリーズの伝統で、DMC-FX7にもそれは受け継がれている。上面にオン/オフのスライドスイッチがあるのだ。これは素晴らしい。メカニカルなスイッチだと電源を入れたか切ったかが感覚的にわかるからだ。

 起動は約1.5秒で液晶モニタが点灯するが、その後AFのリセット処理が行われるのか画面が安定するまで(つまり撮影可能になるまで)だとスイッチオンから2.5秒ちょっとかかる。最近の高速デジカメに比べるとちょっと遅いが許容範囲内だ。

 ただ、終了も2.5秒くらいかかるのはちょっと気になる。電源スイッチを切ってからレンズが沈みはじめるまで少し間があるのだ。その辺も速くなるとうれしいところである。

 撮影モードはオート、かんたんモード、マクロ、シーンの4つ+動画で、右上隅にあるダイヤルを回してセットする。ボディからダイヤルの一部だけが顔を出しているというデザインだ。不用意に回ってしまうことが多いので注意したい。

 注目すべきはマクロモードがモードダイヤルのひとつになっている点と、かんたんモード。かんたんモードは専門用語がまったく出てこないシンプルなメニューのフルオートモードで初心者向きに用意してあるものだ。

メニューのデザインは前モデルから変更され、見やすくなった。とくに項目名の右に選択肢が縦に並ぶ方式はよりわかりやすくてよい。また、露出補正や連写モードなどが独立したボタンになっているのもメニューをすっきりさせるのに一役買っている
シーンモードも充実して全部で9個用意されている。選択用画面も初心者向けに文字を大きくしてあって見やすい

 背面には大きな2.5インチ液晶モニタがあり、それが背面の面積の2/3くらいを占めているため、光学ファインダはない。液晶モニタはけっこう明るめでDISPLAYボタンを長押しするとパワーLCDモードに入ってさらに画面が明るくなるので、使っていて光学ファインダが必要と感じることはなかった。

 液晶モニタの右に十字キーとメニューボタンがあるが、メニューのデザインはこのモデルから新しくなり、以前よりわかりやすくなった。これはよい点だ。

背面は驚くほど大きな2.5インチの液晶パネルが目立つ。その右に十字キーやディスプレイボタンや連写ボタンが並ぶ。見ての通り光学ファインダーはない。画面は大きいが11.4万画素と解像度は高くないので粗くみえるかも。液晶モニタが多くを占めるが、一応親指を置くための場所を空けてあるのは立派だ

 その他にも9点3点1点スポットの4パターンのAFモードや、カード容量いっぱいまで撮れる連写機能、オート時のシャッタースピードの加減を1/8から1秒まで選べるなど細かい機能向上も図られている。

 バッテリーは710mAhの薄型バッテリー。残念ながら、液晶モニタが大きいこともあって、バッテリの持ちはよい方ではない。CIPA規格のテストで約120枚にとどまっている。旅行時などは充電器は必須で予備バッテリが欲しいことがあるかもしれない。

薄型のバッテリーとSDカードスロットは底面に。付属の充電器で充電する

これだけ小さくて手ブレ補正付な上に完成度も高いお薦めデジカメ

 それでも、薄型軽量コンパクト機としての完成度はなかなか高く、その上でDMC-FX7ならではの2.5型大型液晶+光学式手ブレ補正という強い特徴を持っている。デザインも悪くないし、これだけ中身が詰まっていながら厚さが24.2ミリにとどまっているのも素晴らしい。

 2003年のDMC-FX5はやや大きいという印象があったが、DMC-FX7は逆にこれだけの機能でこのサイズは信じられないくらいで、「手ブレ補正機能があるから××は劣っていてもしょうがないよね、手ブレ補正機能があるからでかくて重くてもしょうがないよね」というエクスキューズがほとんどないのである。

 目立つ欠点はバッテリーの持ちが少々心許ないことと、本体内充電ができないこと(バッテリーを外して充電器に置かねばならないので、充電し忘れや電池の入れ忘れが起きやすい)ことくらいだ。

 気軽に持ち歩いて片手でさっと気軽に撮りたい人には、片手撮りしても手ブレ失敗が少ないDMC-FX7はありがたいし、ノイズが嫌いだからどんなところでもISO80で撮りたいという画質重視派にも、手ブレ補正機能のおかげでギリギリまでシャッタースピードを落とせるDMC-FX7はありがたいし、液晶モニタは大きい方がいいけどボディがでかくなるのはイヤというわがままな人にもDMC-FX7はありがたい。薄さや速さや軽さでDMC-FX7をしのぐデジカメはいくつもあるが、手ブレ補正+2.5インチ液晶の魅力に対抗するのは難しいだろう。

 ただし、前述したように手ブレ補正に過大に期待しないこと。ブレを防ぐ基本はやはりカメラの持ち方。最近、指でそっと上下から挟むようにデジカメを持って(まるでこわごわ扱うように!)撮影している人をよく見かけるが、そういうぶれやすい持ち方では手ブレ補正にも限界がある。

 でもしっかり握って撮れば片手撮りであっても補正の効果は感じられるだろう。もうひとつ、夜景撮影時のようにスローシャッターを使うときは三脚を使うなりカメラを持つ肘をテーブルにつくなどしてブレを防ぐ工夫は必須だ。シャッタースピードがあまりに遅くなると補正しきれない要素が出てくるからである。

DMC-FX7、作例

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