700万画素だからいいんです――ソニーの定番モデル新バージョン「DSC-P150」(2/3 ページ)

» 2004年08月30日 08時00分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

ユーザーインタフェースはDSC-P100と同じ

 レンズのちょうど裏側にある液晶モニタは1.8インチで、撮影時にはリアルタイムヒストグラム表示もできる。

 その右上にモードダイヤル。背面にモードダイヤルがあると視点を動かさずにセットできてよい。

 面白いのはフルオート、プログラムAE、シーンモードと一緒にマニュアル露出モードがあること。絞り優先やシャッタースピード優先AEはなく、マニュアルだけがある。絞り値は2パターンしかないが、露出を固定したいときやスローシャッターを使いたい場合など、いざというときにあると便利で、マニュアル露出にすると最長30秒までのスローシャッターが可能になる。夜景時などけっこう便利に使えるのだ。

背面にはモードダイヤル、ズームボタン、十字キーなどが並ぶ。モニタは1.8インチサイズ

 シーンモードは夜景、風景、花火、キャンドルなど全部で9個。高速シャッターモード(いわゆるスポーツモードに該当)ではどんなに暗くてもシャッタースピードが1/250秒以下に落ちないなどの工夫もあるし、夜景モードでは空の暗さにひっぱられて露出オーバーにならないようセットされるなど、細かいところもなかなかよくできている。

 基本操作は「MENU」ボタンと円形に並んだ十字キーで行う。この十字キーの上下左右にはそれぞれ発光モード、マクロモード、セルフタイマー、クイックプレビューと独立した機能が割り当てられており、それ以外の機能はMENUキーでメニューを表示して操作するという仕組みだ。ホワイトバランス、ISO感度、露出補正などもメニューの中だ。

 その他、彩度・コントラスト・シャープネスの調整や、0.5/1/3/7メートルと∞の固定フォーカス機能など、意外に細かな調整もできる。固定フォーカス機能は、暗くてオートフォーカスがうまく合わないときなどに使える。

 こういう、普段は使わないけど、いざというとき知ってると便利な機能がサイバーショットの何気ないよさかもしれない。

MENUボタンを押すと下一列に項目が、縦方向に選択した項目の内容が表示される。ちょっと分かりづらく、今となって地味なメニューだが、機能的にはなかなか豊富
モードダイヤルを回すと画面上に一瞬だけバーチャルダイヤルが現れるので画面でも確認できる

 ただメニューは以前のサイバーショットから変わらない、画面の下一列に略称で項目が表示され、左右キーで選び、上下キーでパラメータを選択する方式。

 常に空いているスペースで画像のプレビューを見ながら調整できるのは便利だが、もうちょっとメニューは大きくて見やすい方がいいし、特にシーンセレクションのシーン切替はもっと分かりやすくしてほしいところだ。

 ちなみに画像サイズだけは独立したボタンが用意されており、すぐにアクセス可能だ。

シーンのセレクトもメニューの一部に現れる。アイコン表示のみなので地味

 動画は他のサイバーショットシリーズ同様、MPEG1形式の640×480ピクセルで約30fpsを実現している。

 再生はまず粗い画像を素早く見せ、そのあとで精細画像を表示する仕組み。これもさくさくと動くが、注目すべきは画像削除機能。メモリがいっぱいになると、いらない写真を消してさらに撮りたいというケースは多いが、DSC-P150はサムネイル表示にして削除ボタン(画像サイズボタンと兼用)を押すと、「選択削除」が可能になる。サムネイルを見ながら不要な写真をまず選び、まとめて消せるのだ。この機能もまたいざというとき便利なのである。

バッテリーの持ちはトップクラス

 デジカメとしては結構オーソドックスで、厚さは26.6ミリだが高さを抑えめにした細長いデザインで収納性は高く、持ち歩きはけっこう快適。重さも約147グラムと最近の薄型軽量機に比べるとやや重く胸ポケットには向かないが、実用的には問題ない範囲だ。

 でもバッテリーは頑張っている。CIPA準拠のバッテリーテストで約320枚を実現。コンパクト機では、カシオの「EXILIM Z55」に次ぐ長さだ。

 多くのコンパクトデジカメは同等のテストで200枚以下であり、「スタミナ」に相応しい駆動時間を示している。しかも「インフォリチウムバッテリー」なので、バッテリー残量が残り時間で分かる。なかなかいい。またカバーに付いている小さな窓を開けてACアダプタをセットすると本体内充電が可能なのも面倒がなくてよい。

バッテリーとメディア(メモリースティック)は側面のスロットの中に。バッテリーはRタイプのインフォリチウム充電池で持ちはよい
バッテリーカバーの一部が開くようになっており、そこにDCコネクタがある。ACアダプタをそこにつなぐと充電できる

 つまり、DSC-P150はサイバーショットシリーズの中核をなすオーソドックスな3倍ズームコンパクトデジカメであり、数あるデジカメの中でもDSC-P150がトップだ、という突出した機能や個性はないけれども、その分完成度が高くて定番の名にふさわしいのである。

 コンパクト機にしては、オプションのアダプタでフィルタやワイコン・テレコンといったコンバージョンレンズを付けられるのもなかなかよい点だ。

 で、DSC-P150の話題にのぼるとまず訊かれるのが「700万画素って必要なの?」という点。そもそも700万画素もいるのか。こういうフルオート中心の3倍ズームコンパクトを買う人の……たぶん、98%くらいは「700万画素なんて不要」だ。個人的にも700万画素なんていらない。

 そもそもA4以上のサイズに印刷しようなんて人はわずかだと思うし、700万画素のFINEだとファイルサイズも3Mバイトを越えてしまう。3Mバイトを越えるとさすがに撮影枚数に響いてくるじゃないか。

 でも、700万画素あって困るかと言われると別に困らないのである。例えば、500万画素のDSC-P100と700万画素のDSC-P150を「5Mモード」で比べると、DSC-P150の方が悪いということはない。

 ISO400時のノイズはDSC-P100の方が若干少ないようだが、ディテールの写りはP150の方が700万画素の絵を縮小してるだけあってしっかりしている。ダイナミックレンジも気になるほどの差はない。

 だったらDSC-P150を5Mモードや3Mモードで使えばいいわけで、画素数を抑えめのモードで使えば、いざというときのデジタルズームも実用的に使える。そう思えば一概に700万画素なんて不要だから無駄、とも言えないのである。価格面で折り合いがつけば悪くない製品だ。

 もし最新の技術で1/1.8インチサイズの400万画素CCDを開発すればもっと階調が滑らかでダイナミックレンジも広い高画質な製品になるだろうと思うが、それはまた別の話となろう。

DSC-P150、作例

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