その前に今回使う温度センサーの紹介をしておこう。今回使うのは「LM35」(データシートPDFファイル)だ。これは1度あたり10ミリボルトの変化が出る温度センサーで、分かりやすい出力電圧が魅力だ。
秋月電子で200円とまあまあの価格で、秋月電子ではもっと安いセンサー(S8100:100円)もあるが、分かりやすさでこちらを使う。これを先ほど使ったコンパレーターに通せば一定以上の電圧で警告を出すことが可能だ。
これをファンコンに組み込むにはどうすればよいか考えた結果、こんな回路をひねり出してみた。
最初に考えた回路ではVcc-GND間に3つの抵抗で分圧してコンパレーターの「−」入力にしていたが、Vccの代わりに温度コンパレーターの出力を付ける。
温度コンパレーターは一定温度以下ならプラス、一定以上ならGNDになるのが理想的だが、オペアンプはそこまで出ないため、温度コンパレーターの「+」に抵抗による基準電圧、「−」に温度センサを取り付ければよい。
そうすると温度コンパレーターが一定温度以下ならVccに近い電圧が出るので、デューティー比設定のボリュームはそのまま利用でき、一定温度以上になると、ボリュームの設定に関わらず≪GND≫に近い値となり、先のコンパレーターは常に基準値突破となり、FETが常にオンとなるはずだ。つまり、温度感知型ファンコンというわけだ。
週末アキバPick UP!では「ガンコオヤジファン」が登場していたが、こちらは「普段はチャラチャラしてても決めるときはビシッと決めるファンコン」だ。
ここでひとつ気をつける必要があるのはオペアンプの出力電流で、デューティー比設定抵抗群の抵抗が低すぎると定格オーバーになってしまう。最初に300Ωにしたのはこれを見込んだ数値だ。オペアンプでも1Kの負荷なら問題ないだろう。
温度設定の基準電圧は20〜50度ぐらいが適当そうだ。つまり、200〜500ミリボルトがコンパレータに加わればよいので、300Ωの半固定抵抗を使う場合は下に200Ωの抵抗を付け、上に4.5kΩの抵抗を入れればよい計算になるが、4.5kΩの普通の抵抗は売っていないので、その下の4.3kΩを使おう。同時に下限設定の抵抗も180Ωにすれば、設定可能なのは
Vmin=5×(180/180+300+4300)=188.28mV
Vmax=5×(480/180+300+4300)=502.09mV
とちょうどよさそうだ。温度設定を細かくやりたい場合、通常の半固定抵抗では難しいので多回転タイプの半固定抵抗を使うのもよい。こちらは300Ωが売ってなさそうなので、500Ωを使うと下限設定抵抗が300Ω、上限は6.8kΩとなりそうだ。こちらも同様に計算しておくと
Vmin=5×(300/300+500+6800)=197.37mV
Vmax=5×(800/300+500+6800)=526.32mV
となる。多回転を使うなら別に上限、下限の抵抗を用意せずに済ませる手もあるが、ここでは手を抜かずに計算してみた。もちろん抵抗に限らず、すべてのパーツには誤差があるが、ここでは無視している。
前回書き忘れていたが、抵抗やコンデンサに具体的数値が書いていない場合の読み方は、第一回で紹介した抵抗の読み方から、カラーコードを外したものと思ってほしい。第4回の写真で言えば、半固定抵抗は「501」なので500Ω(50×10^1=500)、積層セラミックコンデンサは「104」なので0.1μF(10×10^4=100000pf=0.1μF)となる。
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