第5回 温度制御ができるファンコントローラーを作ってみよう自作PCユーザーのための夏休み工作教室(2/3 ページ)

» 2004年09月03日 15時29分 公開
[小林哲雄,ITmedia]

警告温度感知型で作ろう

 さらなる応用例として、一定以上の温度になったら全開で回る温度感知型ファンコンを作ってみよう。

 その前に今回使う温度センサーの紹介をしておこう。今回使うのは「LM35」(データシートPDFファイル)だ。これは1度あたり10ミリボルトの変化が出る温度センサーで、分かりやすい出力電圧が魅力だ。

温度センサー「LM35」

 秋月電子で200円とまあまあの価格で、秋月電子ではもっと安いセンサー(S8100:100円)もあるが、分かりやすさでこちらを使う。これを先ほど使ったコンパレーターに通せば一定以上の電圧で警告を出すことが可能だ。

 これをファンコンに組み込むにはどうすればよいか考えた結果、こんな回路をひねり出してみた。

 最初に考えた回路ではVcc-GND間に3つの抵抗で分圧してコンパレーターの「−」入力にしていたが、Vccの代わりに温度コンパレーターの出力を付ける。

 温度コンパレーターは一定温度以下ならプラス、一定以上ならGNDになるのが理想的だが、オペアンプはそこまで出ないため、温度コンパレーターの「+」に抵抗による基準電圧、「−」に温度センサを取り付ければよい。

 そうすると温度コンパレーターが一定温度以下ならVccに近い電圧が出るので、デューティー比設定のボリュームはそのまま利用でき、一定温度以上になると、ボリュームの設定に関わらず≪GND≫に近い値となり、先のコンパレーターは常に基準値突破となり、FETが常にオンとなるはずだ。つまり、温度感知型ファンコンというわけだ。

 週末アキバPick UP!では「ガンコオヤジファン」が登場していたが、こちらは「普段はチャラチャラしてても決めるときはビシッと決めるファンコン」だ。

 ここでひとつ気をつける必要があるのはオペアンプの出力電流で、デューティー比設定抵抗群の抵抗が低すぎると定格オーバーになってしまう。最初に300Ωにしたのはこれを見込んだ数値だ。オペアンプでも1Kの負荷なら問題ないだろう。

 温度設定の基準電圧は20〜50度ぐらいが適当そうだ。つまり、200〜500ミリボルトがコンパレータに加わればよいので、300Ωの半固定抵抗を使う場合は下に200Ωの抵抗を付け、上に4.5kΩの抵抗を入れればよい計算になるが、4.5kΩの普通の抵抗は売っていないので、その下の4.3kΩを使おう。同時に下限設定の抵抗も180Ωにすれば、設定可能なのは

Vmin=5×(180/180+300+4300)=188.28mV
Vmax=5×(480/180+300+4300)=502.09mV

とちょうどよさそうだ。温度設定を細かくやりたい場合、通常の半固定抵抗では難しいので多回転タイプの半固定抵抗を使うのもよい。こちらは300Ωが売ってなさそうなので、500Ωを使うと下限設定抵抗が300Ω、上限は6.8kΩとなりそうだ。こちらも同様に計算しておくと

Vmin=5×(300/300+500+6800)=197.37mV
Vmax=5×(800/300+500+6800)=526.32mV

となる。多回転を使うなら別に上限、下限の抵抗を用意せずに済ませる手もあるが、ここでは手を抜かずに計算してみた。もちろん抵抗に限らず、すべてのパーツには誤差があるが、ここでは無視している。

 前回書き忘れていたが、抵抗やコンデンサに具体的数値が書いていない場合の読み方は、第一回で紹介した抵抗の読み方から、カラーコードを外したものと思ってほしい。第4回の写真で言えば、半固定抵抗は「501」なので500Ω(50×10^1=500)、積層セラミックコンデンサは「104」なので0.1μF(10×10^4=100000pf=0.1μF)となる。

セラミックコンデンサ。かなり細かい字だが「104」と書いてあるので0.1μF

ところが大失敗

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月18日 更新
  1. ついに8K対応した「Insta360 X4」の画質をX3と1インチ360度版で比較 今買うべき全天球カメラだと確信した (2024年04月16日)
  2. バッファロー製Wi-Fiルーターに脆弱性 対象機種は今すぐファームウェア更新を (2024年04月17日)
  3. 「JBL GO 4」でBluetoothスピーカーデビュー! 累計出荷台数5700万台を突破した人気製品の最新モデルを試す (2024年04月17日)
  4. AI対応でCore Ultraよりも高いパフォーマンスをアピール! 企業PC向け「Ryzen PRO 8000シリーズ」登場 (2024年04月16日)
  5. SwitchBotのミニプラグに不具合 「断続的にオン/オフを繰り返す、異音」などで該当製品の交換を呼びかけ (2024年04月17日)
  6. Synology「BeeStation」はNASより便利な一面も 家族の“秘密”も守れるストレージ、共有リンクや写真管理もある (2024年04月16日)
  7. 「ASUS ZenScreen MB16QHG」は従来モデルの弱点を解消した高評価の16型モバイルディスプレイだ (2024年04月16日)
  8. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  9. 無線LANルーター「Aterm」シリーズの一部に複数の脆弱性 設定変更や買い替えをアナウンス (2024年04月11日)
  10. NVIDIA、Ampereアーキテクチャを採用したシングルスロット設計のデスクトップ向けGPU「NVIDIA RTX A400/A1000」を発表 (2024年04月17日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー